突如、黒ひげ一行の前に影が降り立った。
敵襲かと警戒した時、

「やはり、インペルダウンを襲撃してましたか」

目の前の影、マント姿から響いたのは、まだ年若い女の声だった。






































































ーー黒幕ーー











































































ゼハハハハ!
凪風、まさかお前が来てるとはなぁ」

唯一、その正体を知る黒ひげが目の前の人物に声をかける。
そして、

「どうだ、俺と組まねぇか?」
「・・・組む?」

出し抜けに放たれた言葉に、不審気な声が返る。
それを意に介すことなく、黒ひげは続けた。

「そうだ、俺とお前が組めば世界はあっという間に手に入れられる。
お前にとっても悪い話じゃないはずだぜ?」
「・・・・・・」

どうだ?と黒ひげがニヤリと笑う。
その言葉に、マントから細い手が現れた。
それはゆっくりと、腰、胸、肩を通り過ぎ、

「貴方のことです。
同じ事をエースさんにも言ったんでしょうね・・・」
「ああ、断られちまったがな」
「道理でしょうね」

そして、その手は背中に届き・・・

「私の答えはーー」
ーーキィンーー
ーーズザァン!ーー

瞬きもつけない間に、黒ひげに斬撃が見舞われる。

「グアァァッ!」
「「「船長!」」」

真面に喰らった黒ひげは、血飛沫を上げ吹き飛んだ。
その勢いで目深に被っていたフードが外れる。
陽光の下に現れる、薄茶の髪。
地面をのたうち回るそれを、無感動のまま見つめるロイヤルブルーの瞳。

(「首を飛ばすつもりだったのに・・・」)
「い、痛ぇ!ちくしょう!」

やはりこの男、底知れない力を持っている。

「二つだけ言っておきます」

剣を収めることなく、感情を抑えた声。

「世界がひっくり返ろうが、私は貴方達と組むことはありません。
そして、どんな事があろうとーー」

柄を握る手に力が籠る。

「私は絶対、貴方を許さない」

刃先のような凍てついた瞳。
それはどんなモノをも切り刻む氷の刃。
言い捨てられ、肩で息を吐いていた黒ひげは血に染まった口元を拭い、嗤った。

「ゼ、ハハハ・・・強気な女は好きだぜ」
「私は貴方と同じ時間に存在しているだけで反吐が出ます」

吐き捨てるように言ったは、黒ひげの周りを囲む手下達を見る。

「さすがは、集めた方も類友ですね。
根性も、考えた方も捻れ腐ってる」
「褒めすぎだぜ、そりゃぁ」

こいつ・・・、の視線は射殺せるほど険しくなる。
が、

「それよりいいのか?
俺なんかの相手をしてる場合じゃねぇだろ?」
「何をーー!!」

その言葉に悪寒が走った。
だがこれ以上、どんな悪いことがあるんだ?
そう思い、振り返った。

「・・・なん、で・・・」

あり得ない光景に、世界が止まった気がした。


















































2013.7.15



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