「隙を見せるな!白ひげ海賊団!!」
戦場に響く絶叫。
それに、皆の意識が白ひげに向かおうとした所を踏みとどまる者が出始める。
これで十分。
白ひげは強く、寄せられる信頼は絶大。
だがその揺らぎは、一気に皆の足元を崩す。
それは大きな隙を生み、この戦争では形勢を変えるものだ。
だから、それを踏み止まらせる者が幾人かいる必要があったが、どうにか上手くいった。
早く目的の場所へ急がなければ・・・
が、目の端に黄猿のレーザーが放たれようとしていたのを見留めた。
その狙い先は海楼石の枷がはめられた者。
そして、自分がよく知ってる姿。
(「させない!」)
それが分かり、一気に駆け出した。
ーー信念ーー
黄猿のレーザーが発射されそうなその瞬間、一つの影が介入した。
そしてレーザーは見当違いのところで爆発を生む。
「ん〜〜〜、何者かなぁ君は〜」
「これ以上、この人に手出しはさせません」
すっぽりと全身を覆われるマントから紡がれた言葉。
鞘で腕を弾かれた黄猿の問いに、丁寧な口調が返される。
「初めまして、というべきですね。
ボルサリーノ大将」
「見覚えあるねぇ〜冥王の関係者かなぁ〜?」
「さぁ、どうでしょうか?」
自身の前に翻るマントに、マルコは目を見張った。
「!」
「海賊ではありませんが・・・・」
マントから覗く、唯一の表情である口元がにやりと笑った。
「私の信念に基づき、こちら側に介入させていただきます」
「ん〜〜〜新手なら消すだけだねェ〜」
黄猿の攻撃の手を逃れ、海楼石の手錠を解かれたマルコ。
だが、すぐに助けられたマント姿の胸ぐらを掴み、怒声で言い寄った。
「
、なぜ来た!来るなつっただろぃ!?」
「・・・今、それを言ってる場合?」
「くっ!」
冷静なその声が的を得ているが、苛立ちが収まらない。
それはも同じなのだろう。
互いに睨み合う二人。
と、
「お願い・・・」
胸ぐらを掴む手に、自分よりも小さな両手が重ねられる。
「助けてあげて」
震える手に気付いたマルコが見たのは、キュッと唇を引き結ばれた口元。
(「私が教えなければ・・・」)
『教えろよ、あいつの居所を・・・』
『おれ隊の部下だぞ!これを放っといて殺されたサッチの魂はどこへ行くんだっ!!』
『教えろ、凪風』
『・・・・・・頼む、』
(「エースさん・・・」)
募る後悔の念。
お前のせいではないと言われても、それは棘のように自身の心を刺していた。
渾身の祈りを込めて、彼の救出を願う。
マルコは重ねられていた手を解き、震える手を包みの胸に返した。
「任せろよぃ」
の不安を拭うようにそう言い、その頭に手を置いたマルコは走り出した。
2013.7.15
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