ーー海賊だからこそーー






































































シャボンディー諸島、69番GR。
シャクヤクとレイリーに別れを告げたは、頭を抱えていた。

「う〜ん、どうしようかな・・・」

目下にはマリンフォードから避難してきた住民や、記者達が大きな3つのモニターの前に一同に会していた。
が頭を抱えているのは一つ。
マリンフォードに行くと決めたものの、そこに行くための足がないのだ。
海軍船に紛れ込んでしまおうという考えは、あっさりと消えた。
それは公開処刑前の数時間、船の往来が海軍船でも制限がかかっていたからだ。
66番GRで仕入れた情報では、このシャボンディー諸島からマリンフォードに向かう船はない。
自ら船を調達したとしても、マリンフォードの玄関である正義の門が開かなければ意味がない。

「参ったなぁ・・・あ!」

その時、見知った姿を見留めたは駆け出した。
そして、ひらひらと舞う墨色のマントの端を掴んだ。

「ドレークさん!」

そこにいたのは元海軍本部少将、X・ドレークだった。

?どうしてこんなところに・・・」

マスク越しに向けられる怪訝な顔。
ふらふらとあちこちを歩き回っている自分なのだから、当然の言葉。
相変わらずの真面目な反応にはにっこりと笑顔を返す。

「ご無沙汰してます。一週間ぶりくらいですか?」
「正確には5日と18時間だ」
「一週間でいいじゃないですか・・・」

ここまでくれば、もう流石としか言いようがない。
一時期、上司であったが、できすぎるのも考えものだ。
と、このまま世間話をしている場合ではない。

「ドレークさんも傍観者ですね?」

疑問ではなく確認。
超新星の一人である彼が、この歴史の節目を見逃すはずがない。
そしての推測通り、ドレークの首は縦に振られる。

「実はお願いがあるんです」
「こんな時に頼み事とは、穏やかじゃないな・・・」
「あら、私の仕事が穏やかだった事など一度もありませんよ?」
「別に胸を張れることでもなかろう?」

呆れたドレークにはすぐに開き直る。

「まぁ、そうなんですが、今はそんなことはいいんです。
手を貸していただけませんか?」
「用件によるな」
「私をマリンフォードの近くまで送ってください」

無茶なことを言うな、という表情に何時もよりも余裕のないの表情がドレークを見据える。

「こんな時に、私が冗談を言いますか?」
「言わないな。君が部下だった時もそうだった」

昔を思い返すように回顧するドレーク。
はそれに微笑で返す。

「無茶は承知です。
ですから、近くまでで結構です」
「・・・・・・」

考え込むドレークに、は畳み掛けるように続ける。

「部下だったよしみとは言いません。
海賊である貴方が向かうには危険すぎる場所・・・
ですから、一団を率いる船長である貴方と、凪風の私と取引をーー」
「もういい」

続きを遮ったドレークに、は驚いたように見上げた。

「もう、いい」

もう一度、ゆっくりとドレークは繰り返す。

「私はもう海兵ではない。
取引云々など必要ない」
「でもーー」
「私は、海賊だ」

そう言って、口元がにやりと笑った。

「進める方向は私の意志で決める」
「ドレークさん・・・」

































































「新時代を、この目で見よう」



















































>余談
「それで、途中で降りた後はどうするんだ?」
「恐らく、知り合いを乗せた海軍船が近くを通るはずです」
「知り合い?」
「ええ。昔からの友達なんです」





2013.7.15



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