「あれから1年、か・・・」
あっという間だったなぁ、と空に響く鈴の音のような声。
伸びた襟足を指先でいじる。
修行前に切った髪も、以前のような長さに戻ってしまった。
その襟足をさっと、後ろに流し歩みを進める。
そして、目の前を流れる滝の前に立ち、スッと目を閉じる。
耳に響く落水音。
しばらくして、
「はあぁっ!」
ーーザアァァァンッ!ーー
滝壷から滝口、そして空に向かって、一直線に斬撃が走る。
それによって、水の流れが分断し濡れた岩肌が露わになる。
「ふぅ・・・」
手にした雷切を鞘に戻し、小さく息を吐いた。
「申し分ないな、上出来だ」
「うん、ありがとう」
後ろにいたレイリーの言葉には振り返ってそう言った。
そして、止まっていた水の流れが再び始まった。
ーー新しい可能性ーー
1年の間、修行に明け暮れた。身体つきも少しは変わった・・・と思う。
以前よりも均整の取れた身体。
女性ながらの丸みはあっても、鍛えられるべきところは、しっかり鍛えられている。
「で、これからどうするんだね?」
隣を歩くレイリーからの問いかけに、は笑顔で答えた。
「うん、会って話をしたい人がいるんだけど・・・」
「どうしたね?」
「その前に、腕慣らしも兼ねて修行中の間の情報収集するつもり」
ニッコリ笑ってそう言えば、キョトンとした表情が返された。
「何を言っているんだね」
「何をって・・・何が?」
おかしいこといってないよね?と首を捻るに、レイリーは破顔した。
「腕慣らしなど必要ないだろう。会いたいと思っているなら、会いに行けばいい」
気兼ねする相手ではないのだろう?と、見透かしたレイリーの言葉に、は言葉に詰まった。
「ま、まぁね・・・」
(「気兼ねはしないけど、心の準備ってものが・・・」)
「それとも、足を重くする訳でもあるのかね?」
「!そ、そんな訳・・・!」
意地の悪い言葉に反論できず、はついに諸手を挙げた。
「も、もうその話はお終い!
早く船に乗らないと置いてっちゃうからね!」
「はっはっはっ!怒るのは図星ということだな」
「〜〜〜〜〜〜っ!」
口では一生勝てない気がしただった。
2013.7.15
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