「アイスバーグさん!
会社結成おめでとうございます!これ、つまらないものですがどうぞ」
「はるばる偉大なる航路を渡って来たのか?相変わらず、おかしな奴だ」
「だって、お祝いを言いたかったんですもん♪」
久しぶりに再会したその人は、別れた時より数段増しな風格を醸し出していた。
ーー人間味がないーー
「3年振りですか。ますますダンディーになってますねv」
「ンマー・・・ありがとよ」
照れたように、明後日の方向を見てアイスバーグは呟く。
その様子に笑み浮かべ、は後ろにある作業場を見渡した。
「へぇ、あの方達が職人さんですか・・・」
「あぁ、いい腕の奴らばかりだ」
素人目でもそれは分かる。
流石は匠だ。皆、個性的な色を持っている。
目の前で木材がどんどん船へと変わっていく光景は見ていて飽きない。
珍しいあの道具は何に使うんだろう?
あちらこちらに視線を向けていた。
その時、
(「あれ、あの人達・・・」)
視線がある人物のところで止まる。
鳩を肩に乗せているシルクハッの男と、帽子を目深に被る長い四角鼻の男。
思わず固まってしまった。
それに気付いたアイスバーグは、不思議そうに声をかけた。
「どうした?」
「あ・・・いえ・・・」
はぐらかすように首を振る。
まるで靄がかかっているように、灰色を纏う二人。
底が見えない不安には胸中で呟いた。
(「なんだろう・・・人として、色が見えない」)
この時は不安を抱きながらも、はどうしようもできなかった。
2013.7.15
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