歩き回れるようになっただが、まだ顔を合わせていない人物が一人いた。
避けられているのか、それとも無意識にこちらが避けているのか。
だが、早くお礼を言いたいのも本当で・・・
ルイーナと約束した時間(処置に来ないと傷を開くと脅された)が迫っていたため、医務室に向かう道すがらはどうしたものかなぁ、と考えていた。
そして、目的地を視界に捉えた時、

ーーパタンッーー
「「あ」」

その部屋から出てきた当人とばったりと出会った。








































































ーー素直な一言ーー









































































互いに暫し黙していた。
が、向こうの方が早く動き出し、こちらへと歩みを進める。
そして、数歩の距離を残して向き合った。

「怪我は、もういいのかよぃ」
「はい・・・」

いつものような素っ気ない声。
それに返事を返し、思わず俯いてしまう。
いつものように振る舞うのが、こんなに大変だとは思わなかった。

(「顔が、見れない・・・」)

ぎこちない空気が流れる中、何よりだよぃ、と言ったマルコはそのまま歩き出す。
離れて行く気配には慌てたように呼び止めた。

「あ、あの・・・マルコさん!」

振り返って見た顔に、用意していた言葉は全て消えた。
自覚してしまった想い。
それを今は奥に押し込めて、痛む脇腹も今は押し込めて、笑う。
そして、

「ありがとう、ございました」
「何度も聞いたよぃ」

呆れ顔のマルコ。
それを見たはいつもの調子を取り戻したように、くるりと踵を返し肩越しに言った。

「同じ目線で言いたかったんです」

そう。
こちらを心配するように見下ろされる形でなく、同じ場所に立った、同じ高さで。

「今度、お礼をさせてくださいね?」
「・・・好きにしろぃ」

素っ気ない言葉に、了承の意図を見た
それに湧き上がるのは素直に喜びだった。














































2013.7.15

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