意識を取り戻した翌日。
未だに医務室から出られない。
やることもなく、動くなと言われてしまっている。
年中あちこちをフラフラしているにとって、それは拷問に近いものだった。
だから、つい。
そう出来心でその思いをナース長である彼女に聞いていてみたのだ。

「あの、ルイーナ」
「なぁに〜?」
「部屋に戻っていいですよね?」































ーー触らぬ神に祟りなしーー































それを受けた当人と視線が交錯する。
なんら、不思議なことは言ってないはず。

「いや、もう意識は戻った訳ですし。後は安静にしてれば事足りるじゃないですか?」
「・・・・・・」

だが、向こうはひどく驚いた顔を崩さない。
なぜだ?
さらに、それだけでは終わらない。
ルイーナは持っていた薬品をテーブルに置くとそのまま俯き、

「・・・ふふふふふ・・・・」

不気味に笑った。
それを見たは、失礼だが彼女の正気を疑った。

「ル、ルイーナ・・・?」
「面白いことを言うわね〜、?」
「おも・・・」

そうなのか?
自分は思ったことを言っただけのつもりだったが・・・
まだ自分の常識は世間と外れているのだろうか?
などと、かなりずれた方向に考えているとは露知らず。
俯いていたルイーナは、声からは考えられない満面の笑みを向けた。

「やれるものなら、やってごらんなさいな」
「え、いいんですか!」

やった、反対されると思ってたのに♪
そう嬉々として肘を付き、脇腹の傷に負担をかけないようゆっくりと起き上がった。
が、

ーートサッーー
「っ!」

視界がぐわんと歪み、バランス失ったは再びベッドに戻ることになった。
その衝撃で塞がりかけた傷が痛む。
今度はの方が驚いた顔をし、成り行きを見守っていたナース長を見た。

「ぁれ、おかしいな・・・
ルイーナ、もしかして筋弛緩剤でも打ったんですか?」
ーーブチッ!ーー

あ、なんか切れた音。
そんな呑気に考える頭の隅の自分。
だが、状況は全くその逆を進行中だ。
床を踏み鳴らし近づいたルイーナは、の眼前に指を突きつけた。

「当たり前でしょ!それだけ重傷なの!
少しは自覚なさい!!2週間は縛り付けておくわよ!!!」

怒髪、天を衝く。
その形相は般若の如く。
普段からは考えられない程の怒りっぷり。
結構な大物とも渡りあってきただが、即座に諸手を上げた。

「・・・ア、アイサー・・・」
























2013.7.15

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