意識が朧げなのが分かる。
これが覚醒間際の感覚なのだろうか。
夢か現か分からない。
そんな中、ぼやける視界が、ゆっくりと焦点を結んでいく。

(「・・・ここは・・・」)

消毒液の臭いから、恐らく医療施設がある場所なのだろう。

(「なん、で・・・」)

なぜこんな所に自分はいるんだ?
思い出そうとするが、靄がかかったように思い出せない。
仕方なく、意識を外へ広げる。
ゆっくり、ゆっくりと四肢に意識を巡らせていく。
思い通りにいかない違和感を感じながら、それらを支配下に置く。
と、その時。
こちらに近づいてくる気配を感じた。
回らない頭で、危険を回避しろ、と警告音が鳴り響く。
それに従い、は緩く長く息を吐く。
そして、

ーーガダンッ!ーー
「きゃっ」

近づいてきた人物を引き倒し、手近にあったメスを喉元に突き付けた。

!」
「!」

その声に、意識がはっきりと覚醒した。
今、下に押し倒しているのが自分の見知った人物ということも。

「私が分かる?」
「・・・ルイ、ーナ・・・っ!

問いに答え、脇腹に走った激痛にようやく現実だと分かった。








































































ーー目覚めーー









































































「まったく、呆れて言葉も出ないわ」

プリプリと怒りながら、脇腹のガーゼが取替わっていく。
銀のトレーにはあっという間に血に染まったガーゼが重なっていった。
文句が途切れることなく流れ出ていたが、その手元の動きは正確だ。

「丸3日も意識失ってたのに、まさか殺されかけるとは思わなかったし」
「ご、ごめーー」
「それに、塞がりかけてた傷まで開かせて!」
「いぃっ!!」

わざわざ傷口を刺激するように新しいガーゼが貼られる。
脳天に突き抜ける痛みに、の目に涙が滲んだ。

「っ!ほ、本気で痛いです!」
「自業自得よ、ったく・・・」

仕事を増やさないでちょうだい、と零したルイーナはテキパキと包帯を巻いていく。
動かされる度に鈍い痛みが走り、は眉根を寄せた。

「め、面目ない・・・」
「ホント、この怪我でよく助かったものよ」

言葉の端に安堵が滲む。
その手が止まっていることで、は自身の手をそれに重ねた。

「・・・ご心配を、おかけしました・・・」

熱でもあるのか、冷んやりと冷たい彼女の手。
小さく苦笑を見せれば、ルイーナも困ったように笑みを返した。


「はい?」
「良かったわね」

くしゃっと頭を撫でられ、は僅かに目を見張る。
そして、今度はしっかりと笑った。

「ありがとうございます」













































>余談
「ナース陣にはお礼をしないとですね」
「当たり前よ、次の島に着いたら覚悟してもらうわよ!」
「あはは、しっかり財布役やらせーー」
「まずは、をモデルに島全部の店でショッピングよ!」
「・・・ごめんなさい、それだけは勘べーー」
「何か言った?」
「イイエ、喜んでご一緒します(涙)」





2013.7.15

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