「え?海賊王が拠点にしてた隠れ家があるんですか!?」
「ああ、海軍にも知られてないみたいだ。
だが今はチンピラの溜り場になっててな・・・誰も近寄れないんだよ」
「その話、詳しく聞かせてもらえませんか!」










































































ーー襲いかかるpassion 1ーー










































































偉大なる航路のとある島にモビー・ディック号は着港していた。
ログが溜まるまで1週間。
マルコの手伝いの書類も片付けたは、サッチと共に酒場へと訪れていた。
ま、サッチの書類も殆どが終わらせたので、その報酬で来た訳だが・・・
カウンターで一緒に酌み交わしていたが、暫くしてサッチはどこぞの女性とテーブルに移った。
その為、はマスターと会話をしている際に冒頭の運びとなったのである。
マスターに詳しい場所を聞いたはまだ陽もあることから、その場所へと向かった。
到着してみれば、そこは隠れ家と言うより廃墟という言葉が近かった。

「うーん、乗せられたかな?」

一人呟く
辺りには何十年も放置されていた事が分かる、錆び付いたガラクタの山。
誰かが出入りしてるらしい形跡はあるが、屯しているはずのチンピラの姿はなかった。
と、動く気配に気付いたは、ガラクタの一角に視線を移した。
そこには粗末な服を来た老人がこちらに向こうとしている所だった。

「娘さん、こんなへんぴな所に何の用じゃ」
「お爺さんはここに住んでるんですか?」

質問に答えず、問い返すと老人は気を悪くするでもなく答えた。

「ああ、生まれてずっとここに住んどる」
「なるほど。実は酒場でここが海賊の隠れ家だって聞いたんですが・・・」

何かご存知ありませんか?と続けて問えば、

「そうじゃの〜。かなり昔に、無法者共がいたようじゃが・・・」

そう言って黙り込んでしまった。やはり、そんなに期待できなかったか。
分かっていた事だが・・・
酒場に帰って飲み直そう、と踵を返そうとした。
その時、

「そいつらとは別じゃが・・・
昔、海賊から貰ったもんがあるんじゃが、見てみるかね?」
「!いいんですか?」
「ああ。ワシにゃあ何に使うかとんと見当もつかんのでな」

老人の言葉に、萎んだ期待が再び膨らむ。
もしかしたら、何か新しい事が分かる手がかりになるかもしれない。
背中を丸めた老人の後に着いて行きながら、の足取りは軽くなる。
その場で人の気配がなかった事も、警戒を緩める一因だったのかもしれない。
その男の口元が、不気味に笑っていた事に気付く者は誰一人としていなかった。














































2013.7.15

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