「なぁ、・・・」
「どうしたんですか、サッチさん?」

神妙な顔のサッチに、は不思議そうな顔を向けた。

「好きな奴、いねぇのか?」
「・・・・・・は?」

いきなり何を言出すんだ、この人は・・・










































































ーー俺の可愛い妹様ーー










































































読みかけの本から視線を上げたに、サッチは憮然とした表情を返した。

「女の子がそんな可愛くない返事しないの」
「サッチさん、自分の妹像を私に求めないでください」

前にもそう言いましたよね?とそう言えば、

「いいじゃねぇか、なら妹として大歓迎だ!」
(「私に選ぶ権利はないんですか・・・」)

なんて言ったら、物凄く落ち込むんだろうなぁ。
と思い、それは言わずにおいた。面倒だから。

「で?どうなんだ?」
「そんな人いないですよ」
「おいおい、減るもんじゃなし。俺は口が固いぞ!」

なかなか諦めないサッチに、は本を読みながらやる気なさげに返事を返す。

「だから、いないものはいないですってばー」
「なら、気になる奴くらいいるだろ?」
「なるほど〜、サッチさんがいつも私にちょっかい出してるのはそういう事ですか〜」
「ちっちっちっ、俺のは麗しき兄妹愛なのだよ。男女の愛より深い!!」
「さいですか」

ペラッと再び紙をめくる
サッチの話も自分の言葉すら右から左だ。
サッチは全く相手にされてないことに、実力行使とばかりにが読んでる本を取り上げた。

「教えろよ〜、〜」
「しつこい兄さんは嫌いですよ、本返してください」
「よし、なら例えを出しゃあいいか?」
「話聞いてまーー」
「そうだな〜
側にいてドキドキするかとか、無意識にそいつを目で追うとか、考えちまうとか・・・」
「だから、居ませんって言ってーー」
「名前を呼んで欲しいと思うとか」
「!」

その瞬間、は固まった。
脳裏を掠めた、一人。

(「いやいやいやいやいや、ないないないないない・・・」)

即座に打ち消した。
まさかそんな訳があるはずかない。
しかし、その僅かに止まった姿をサッチは目敏く気づいた。

「おっ、脈ありだな!誰だ、そいつは!?」
「や、ちっ、ちが・・・!」
「おうおう、動揺しちゃって愛い奴め〜
どれどれ、この人生経験豊富なサッチ兄さんに言ってみなさい」

ほれほれと迫ってくるサッチ。
あり得ない。
だって、今までそんな風に考えた事なかった。
芽吹きつつあるこの感情に名前をつけるのを拒んでいる無意識下の自分がいる。
いろいろ考え、もう、自分の思考はオーバーロードだ。
そして、いつまでも騒いでいる男に、ついに我慢の限界がきた。

「もう!サッチさんなんて、大っ嫌いです!」
「ガーーーンッ!||||」














































>余談
「うるせえ!少しは静かねできねぇのかよぃ、
「こっちのセリフですよ!全部マルコさんのせいですからね!!」
「・・・とんだ言い掛かりだよぃ」
「うぅ・・・まぁサッチ兄さんは分かってたんだけどね」





2013.7.15

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