島に到着した。
時刻はもうすぐ夕刻となろうとする時間。
途中、悪天候に見舞われてしまったため、到着の時間がだいぶ後ろ倒しになってしまった。

「・・・はぁ・・・」

一人小さく息を吐いた
そして、黄昏に染まろうとする空を鬱陶しげに睨み上げた。







































































ーー衝突 2ーー






































































上陸した島はそこそこな大きさだったが、治安は良い方ではなかった。
念の為、単独行動は控えるようにと言われたぐらいだ。
それに、ログは半日で溜まるらしく、翌日出発となった。
本音を言えば今日は出歩きたくないところだが、時間もないしウィルの願いの手前それも出来ない。
は仕方なく街に下りる決断を下した。

「物騒なところみたいね。ウィル、離れないでよ?」
「分かったっす!」
「よし。まずは酒場に行きましょうか」

だが、酒場に到着しても悪運が続いた。

「悪いが、今ぁ切らしてんだ」

店主の言葉に、ウィルは目に見えて落ち込んだ。

「そんなぁ・・・」
「ここにはないってことは別の所にはあるってことかしら?」
「さぁな」

素っ気なく返し、皿を拭く店主。
ウィルはますます沈み込む。
だが、は懐に手を伸ばし指に挟んだそれをヒラヒラと振る。
すると店主は手の平を返したように、

「そうだな、裏通りの酒場なら置いてるだろうぜ」
「そ、ありがと」

そういって紙幣を渡したは店を後にした。
慌ててついて来たウィルは、感激したように息巻く。

「すごいっすよ、姉さん!」
「蛇の道は蛇ってことよ」

言葉少なには答える。
そして、裏通りに足を進め始めた。

































































陽が落ちた。
裏通りは申し訳程度の明かりが、心許なく足元を照らす。
ようやく見つけた酒場で、交渉の末、目的の酒を手に入れた。
上機嫌のウィルはその足取りも軽やかだ。
一応、マントを着込んできて良かった。
フードを被ればすぐに女とは見られない。
このような場所は『女』と言うだけで、トラブルを引き寄せる。

「ウィル、離れないでよ?」
「大丈夫っすよ〜」

空いた距離に嗜めても生返事だ。全く、とは苦言を零す。
と、本屋の看板が目に留まった。
手持ちの本は読みつくしていただけに、自然と注意もそちらに移る。

「ウィル、この店に・・・」

入るぞ、と言おうとした。
が、その姿は見当たらない。

(「言わんこっちゃない」)

は急いで駆け出した。そして、彼の気配を追う。
フードが捲れるが直す時間も惜しかった。
月光に阻まれることなく、満天に瞬く星。
見下ろしてくるそれに、は沸き上がる苛立ちが収まらなかった。













































2013.7.15

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