は走っていた。
森の中ではスピードが出せない為、今は海岸沿いを急ぐ。
早く知らせなくては。
彼らがいくら強いからとはいえ、今回の罠は厄介だ。







































































ーー芽生えた信頼 4ーー






































































男の話の裏付けに3日を要した。
街の広さが裏目に出てしまった結果と言える。
そしてそのまま船に戻ろうとしたが、何か最新の情報はないかと、もう一度支部へと潜入した。
そこで得た情報に、の背筋に嫌な汗が伝った。



 『宝には仕掛けがあってな、まずは3重構造の扉だ』
 『それは開けるのに難儀しそうですね』
 『だろ?だがな、それは序の口だ。』
 『序の口?』
 『おおよ!力任せに壊されちゃぁ、終りだからな』
 『なるほど、さすがですね』
 『それほどでもねぇさ。とっておきを教えてやるよ』
 『とっておき?』
 『最後の扉が開いたと同時に監獄弾に捕らえられてな』
 『へぇ、すごいですね〜』
 『極め付けが周囲100mを吹き飛ばす爆弾だ。これで、海賊共は再起不能って寸法だ!』
 『・・・へぇ・・・』
 『これで、どんな海賊だって全滅よ!
 最強の男と言われてる白ひげ海賊団が来ようとも、手も足も出ないだろうさ!
 がっはっはっはっ!』



武器屋の話を聞いた段階では、海軍に知られる事がなければ問題ないだろうと踏んでいた。
だが、つい今し方海軍で得た情報で甘い考えだったと思い知った。



『海賊が罠にかかったぞ!』
『各人戦闘準備、地下壕から奴らを囲み、一網打尽にしろ!』



ご丁寧に地下壕まで整っているとは思わなかった。
だが、幸いなことにその海賊の正体が白ひげ海賊団だとは掴まれていない。
知れたとなれば、戦力を揃えられる恐れがある。
何より、この一団は能力者が多い。
監獄弾などに捕らえられた所に、爆発に巻き込まれては大怪我は免れない。
ちょっとした小細工を仕掛け終えすぐに支部を後にする。
そしてようやく街の西側、モビー・ディック号が停泊している場所に辿り着いた。
確か、今日の船番は1番隊だったはず。
いつもこちらを見る不機嫌そうな顔の隊長を探す。
と、タイミングよく船室の扉が開いた。

「マルコさん!」

探していた当人の登場に、はすぐさま走り寄った。
向けられるのは友好には遠い、訝し気な視線。
ま、いつも通りということだ。

「大変なんです。すぐに皆を呼び戻してください」
「どういうことだよい・・・?」

結論だけそう言ったに、当然の疑問が返される。
だが、一人事態を知っているは、悠長に説明をしている時間はないと感じていた。

「時間がありません。ともかく、出航準備を!」
「・・・無茶を言うな。
出発はあと3日後だと伝えてあるはずだよぃ」

呆れ顔でそう言ったマルコは、分かったら何処かへ行けとばかりに踵を返す。
しかし、はそれを阻んだ。

ーーパシッ!ーー
「おい・・・」
「なら、財宝を探しに行った方々の所に行く人手をください!」
「何を言ってーー」
「仲間の命が危ないんですよ!」

普段はこんな無茶を言わないの焦りようとその言葉にマルコの顔付きが変わった。

「嘘じゃねぇんだろうな?」
「誰にその質問をしているんですか?」

そう言い返した表情は普段の穏やかなものではない。
1億の賞金をかけられた、『凪風』のものだった。

「人数は?」
「隊長格が1人、念の為、手練れを5人ほど」
「分かった、案内しろぃ」













































2013.7.15

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