海軍の雑兵になり潜入して4日、隠し情報を得るのに2日を要した。
これ以上、海軍からもらう情報がないと判断したは、街に下りある男と接触しようとしていた。
海軍でも頻繁にその名が出、酒場によく出入りをしている人物。
島の武器関連の仕事を一手に引き受け、海軍支部のトップ、大佐の覚えもめでたいという男だった。






































































ーー芽生えた信頼 3ーー








































































目的の酒場で時間を潰していると、その男がやってきた。
恰幅も良く、身に付けているものも羽振りがいいものばかり。
カウンターで酒を注文した姿を見たは後を追うようにして、その隣に腰を下ろした。

「私にも同じものを」

酒場の主人は頷き、目の前に置かれたのは年代物のブランデー。

「王侯の酒を嗜むなんて、実は偉い方だったりされるんですか?」

そう言ってやれば、気を良くしたのか隣の男はにやりと笑った。

「見ない顔だな、旅の人かい?」
「ええ、そんなところです。
先日、到着したばかりで・・・この島は随分と治安が良いですね」

そう言ってやれば、男の自慢できる話な為か得意気に胸を反らせた。

「そりゃそうさ!
この辺は海軍のモラン大佐が海賊共を取り締まってるからな!」
「モラン大佐・・・
確か、センゴク元帥の昔の部下で知将で知られている方ですよね?」
「おう、姉さんよく知ってるな!」

知り合いが海軍にいるもので、と当たり障りのないようにはにこやかに答える。
モラン大佐の事は海軍本部にいた際に知っていた。
どんな海賊もその知略でねじ伏せる強者。
だが、抵抗を見せない相手に行き過ぎた行いがあったことで問題視されていた男でもあった。
ま、実物には会ったことはないが・・・
それにしても、この太った男。おだてればペラペラ喋るタイプか。
念の為に用意していた自白剤も必要なさそうだ。

「でも大佐といえど、ここまで平和なのは他に理由でもあるんでしょうかね〜」

心底感心、といった感じでカマをかければ太った男は、ずぃと距離を詰めた。

「おっ!姉さん、分かってるね〜」
「あら、何か事情をご存知なんですか?」

近付きすぎだ、殴り飛ばすぞ、と思うが今は我慢だ。
チラリと下から見上げるように問えば、調子付いた口が回りはじめた。

「俺はこの島で武器屋をやっててな、これでもモラン大佐とは馴染みなんだぜ」
「まぁ、光栄な方にお会いできたんですね。
よろしければご活躍された武勇伝を聞かせていただけませんか?」

色のある視線を向ければ、口に出さなくとも同意の答え。
畳み掛けるように、流し目を送る。

「せっかくなので、ここは私にご馳走させてください」
「お、いいのかい姉さん?」
「ええ、この島では安心して過ごせそうですから」

ニッコリと笑えば、ゆっくりしてきな、と男が言う。
そしては港で聞いたんですが、と前置きし知りたかった話を振った。

「この島に隠れた財宝が眠ってるって噂を聞いたんですけど・・・
こんな噂がたっては、海賊が押し寄せてくるのでは?」

ちょっと不安です、と表情を曇らせれば、男は大口を開けて笑った。

「はっはっは!心配ご無用!それはモラン大佐が撒いた罠なんだ?」
「罠?」
「あぁ、大きい声じゃ言えんがな、その宝には仕掛けがあってなーー」

その話にの眉根が上がった。













































2013.7.15

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