「ガープ中将くらいになると、戦闘中に命の危険なんていくらでもあったんでしょうね」
「そうじゃな。
じゃが、3回を越えた辺りで数えるのはやめた」
「・・・・・」

いや、せめてもう少しぐらい数えようよ。







































































ーー居場所ーー






































































巡回の申請が下りたことで、偉大なる航路に繰り出したガープ中将部隊。
今の所、海賊との交戦はなく天候も穏やかだ。
だから、のんびりと冒頭のようなやり取りができるのだが。

「でも、よく戦闘中に行方不明になる海兵もいるらしいじゃないですか」
「そうなのか?ワシゃあ、知らんぞ」

そりゃ、あんたはないだろう。
こちらが話しているのは、海軍一般的な話なわけで・・・
いかん、だんだん会話にならなくなってきた。
参った、と眉間に皺を寄せていると、それをどう受け取ったらそう思うのかガープは大笑いした。

ぶわっはっはっは!
なんじゃ、初めての巡回でもなかろうに、臆病風にでも吹かれたか?」

どうやってそこに思い至ったんだ?
普段ならそんなこと歯牙にもかけないところだ。
が、今日はいつもと少し事情が違う。

「そりゃぁ、私も海に放り出されたらただの一海兵。
この偉大なる航路じゃ、ひとたまりもありませんよ・・・」

ふぅ、と物憂気に息を吐いた
それを見たガープは、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。
そして、側に控える副官に耳打ちする。

「おい、ボガード。
は何ぞ変なもんでも食ったのか?」
「いえ、そんな事はないと思いますが・・・」
「じゃが、あんなんじゃぞ?」
「それは・・・そうですが・・・」

コソコソと言葉を交わす二人。
一言一句、しっかりと聞こえてきたが今は捨て置く。
というか、『あんなん』とは何事か!
だが、今は抑える。
は演技がかったように額を押さえた。

「ああ、もしもそんなことになったらどうしましょう」
「「はぁ?」」

目を丸くする二人。
あ、やばい。
だんだん楽しくなってきた。

「グスッ、いえ・・・天涯孤独の身では、頼りがないのは不安なものだなぁと」

くるりと二人に背を向けて、目元を拭う。
・・・ように見えるような仕草をしてみる。
すると、

「何を言うとるんじゃ!
が帰る場所は、いつもここじゃぞ!のう、ボガード」
「・・・はっ、仰る通りです」

背中にかかった声に、の口端が釣り上がった。
そしてその口元を戻し、神妙な顔で二人に振り返った。

「ありがとうございます。
ガープ中将、ボガードさん・・・」

いかん、ここで吹き出したら台無しだ。
堪えるように、はにかんで誤魔化す。
そしてキリッとした表情に変え、

「その思いに応えるためにも全力を尽くします!」

ビシッと敬礼を返す。
すると無骨な手が伸び、帽子ごと頭を撫でられた。
ああ、髪の毛が・・・

「お前がどこ行こうが、の居場所ぐらいワシがいつでも作ってやるわい!安心せぃ!」

ガープの言葉に、は待ってましたとばかりに笑顔に変わる。

「え?
ホントですか?やった!」
































































その後、海賊との戦闘中に一人の海兵が行方不明となるのだった。












































>余談
「ただいま、レイリー!」
、帰ってたのか」
「えへへ〜、情報収集と貴重な体験してきたよ」
「それは楽しい話が聞けそうだな。
それより・・・」
「ん、なに?」
ーーペラッーー
「この額の上がった手配書の説明をしてもらおうか」
「・・・ドーシテデショウカネェ」





2013.7.15

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