暫しの滞在は、あっという間に過ぎ去った。
シャボンディ諸島に到着して一週間後、は再びの旅支度に必要な荷物の準備をしていた。
その手を動かしながら、カウンターでいつものようにグラスを傾ける男に問いを投げかけた。
ーー世界はまだまだ広いーー
「なんだって?」
「だから、白ひげさんに会うにはどうすればいいのかなぁ〜って」
繰り返してやれば、考える素振りをみせるレイリー。
過去の話を聞く限り、彼なら知ってるだろうと思っての問いだった。
「そうだな・・・
ド派手な登場してやれば、乗せてくれるさ」
「派手って・・・何すればいいの?」
実は結構アテにしていただけに、抽象的な答えに思わず手が止まる。
それまで酒を飲んでいたレイリーも、グラスを置き体ごとに向き直った。
「そうだなぁ、船をかち割ればいいんじゃないか」
「割るって・・・簡単に言うけど・・・」
普通はそんな事できないだろうが・・・
そんなの心情を読んだように、レイリーは含みのある笑いを向けた。
「見たいんだろ?」
「うっ・・・」
そこを突かれると、何も言えない。
反論は、ある。
体力使うのは嫌だとか、海軍に目を付けられるのは嫌だとか、それは派手じゃなくて傍迷惑なだけだ、とか・・・
だが、自身が知らない以上、この言葉通りに行動を起こすのが一番だと言う事も分かっている。
これまでレイリーから聞いた話は、それほどの信頼を置いても問題がなかったからだ。
心中で葛藤するは難しい顔になる。
それを見ていたレイリーは、相変わらずの含み笑いを崩さぬまま言った。
「その目で見て来るといい、派手な登場ぐらいなら訳ないだろ?」
>余談
「そういえば、トムの執行猶予の裁判も併せてだったか」
「うん、ついでにお祝いにも行ってくるよ」
「・・・何事もなければいいが・・・」
「レイリー?」
「いや、気を付けて行ってくるんだぞ」
2013.7.15
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