「シャンクスさん」
「なんだ?」
「・・・どうして、私だけこのままなんですか?」
「いいじゃねぇか、減るもんじゃなし」
「見世物になるのは気分が良くないのですが?」
「ベックのレンタル料だ、宴の間だけなんだし、安いもんだろ?」
「それを引き合いに出しますか・・・」

断れない状況に、は深々とため息をついた。







































































ーー予想外ーー







































































海に出たレッド・フォース号。
直前に上陸した島で、はベックマンの協力を得て仕事を終えていた。
その仕事の格好はドレスコードということもあって、普段とは全く違っていた。
それをいい事に、シャンクスとは冒頭のやり取りをすることになったのである。

「ありがとうございました、シャンクスさん」

宴の最中、シャンクスに改めて礼を述べた
いつもと違う装いのため、空樽に座り、欄干に座るシャンクスと同じ目線からその言葉を言う。

「仕事はうまくいったのか、?」
「もちろん、ベックマンさんのおかげさまで。
人選の賜物ですね」

それは言外にベック以外では務まらなかったということを言われているようで。
いや、現にそうなのだが・・・

「ベックマンさん、流石でした。
まさかダンスまで会得しているとは見くびっていましたよ」
「は〜、ベックの奴がねぇ・・・」

流石にそれは知らなかったシャンクスも、興味深そうにの話に耳を傾ける。
だが、

「タキシードもあそこまで似合うとは驚きでしたし」
「へぇ〜」
「もうちょっと表情を和らげたら、他の女性からも引っ張りだこだったのに」
「・・・ふーん」
「あ、それだと私が独り占めできなくなっちゃうか」
「・・・・・・」

絡まれた時も追い払ってくださいましたし、あ、それから・・・
と、話を続けようとしただったがシャンクスが不機嫌な様子に気付き、声をかけた。

「シャンクスさん?」
「ベックはちゃんとリードできてたんだな」

素っ気ないシャンクスに、は力説するように言い放った。

「そこらの男も顔負けです。
あれじゃあ、惚れられちゃいますね」

楽しげに言った
その様子を横目で見たシャンクスは立ち上がり、

、手ぇ出せ」

空樽に座るにシャンクスの右手が差し出される。
酒が入っているのか、ほんのりと顔は赤い。
何をやるつもりだろう、と思いながらはそれに応じる。
すると手を引かれ、立ち上がらされた。
右手はシャンクスの肩に導かれ、左手は顔ほどの高さに。
そして、ステップを踏み始める。
耳に聞こえるのはシャンクスの鼻歌。
それはが話した、あの屋敷に流れた音楽で。
隻腕にも、かかわらずしっかりリードされる。
そして、たった数分でダンスは終わった。
耳に入るは、船員達の冷やかしの声。

「どうだ?」

シャンクスの不敵な笑みに、は固まった。
暫しの時間を置き、ようやくその言葉が紡がれた。

「予想外すぎて・・・言葉もありません」













































>余談
「どうだ、!俺だって紳士的な事もできんだぞ!」
「でも、雰囲気とか考えると、軍配はベックマンさんですね」
「何ぃ!!」
「・・・なんで張り合ってるんですか?」





2013.7.15

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