「久しぶりに話せて良かったよ、シャンクス」
「いえ私の方こそ、レイリーさん」
おだやかな晴天の下、大物海賊二人の邂逅は海軍にさえ知られる事はなかった。
ーー親心ーー
シャボンディー諸島、45番GR。
そこは旅行者向けの観光、土産屋のエリアが建ち並ぶ。
必然、集まる人は多い。
もちろん、32番GRから2エリアを占めるシャボンディパークに比べれば少ないが。
そんな人混みの中、とある大物二人が10数年ぶりの再会を果たし終えようとしていた。
「それにしても、残念だ」
「残念?」
シャンクスの疑問に、レイリーは頷きを返す。
「ああ、私に娘がいてね。君に会わせてやりたかったよ」
「む、娘!?いつできたんですか?
ってか、レイリーさんを落とした女って・・・」
驚愕の表情を浮かべるシャンクスに、レイリーは笑った。
「はっはっはっ!
いや言葉足らずだったな、その子とは血の繋がりはないのだよ」
「は?」
キョトンとする赤髪に、レイリーは続ける。
「孤児だったのだがな・・・なんとも不思議と惹きつけられた」
「それで引き取ったんですか・・・物好きな」
「運命的な出会いだったから、な・・・」
「運命的?」
物思いに耽るレイリー。
その目には懐古と哀愁が混ざっていた。
「あの子、と出会ったのはロジャーが処刑された日だったからな」
「そうだったんですか・・・」
「あぁ。と会えたからあの満月の夜がとても良い日になったよ」
「・・・・・・」
レイリー呟きに、シャンクスは返す言葉に迷った。
傍目に見ても、船長と副船長はいいコンビだった。
まるで親友のように、始めから一つだった半身のように。
そんな相方を失った日のことに触れるのは、当時見習いだった自分には立ち入れる領域でない気がした。
「おっと、すまない。湿っぽくなってしまったな」
「いえ。にしても、レイリーさんの娘さん・・・
将来が楽しみというか、不安というか」
話題を変えるようにシャンクスが話を振れば、レイリーはたちまち破顔した。
「まあ、今は方々、旅しているようだ」
「旅って・・・大丈夫なんですか?
いくらレイリーさんの娘でも、偉大なる航路が危険な事に変わりはないですし」
「何、心配いらない。己が力量を見誤る鍛え方はしてないからな。
それにあの子には天性の資質がある」
その言葉に首を傾げるが、当人からはそれ以上答えるつもりはないらしい。
会えばわかる、とだけ言われた。
「彼女に会ったらよろしく言っておいてくれ」
「分かりました」
>余談
「そうだ、一つ言い忘れていた」
「なんですか?」
「に惚れるなら覚悟してもらうぞ」
「・・・は?」
「あの子を泣かせるようなら、例えシャンクスだろうと容赦せんよ」
「は、はぁ・・・」
(レイリーさん、とんだ親バカに・・・)
2013.7.15
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