ーー見つからない答えーー


























































とある日。
街で買い出しをした帰りのことだ。
ふと、 の視線にある光景が目に入った。
細い路地から見えたのは、ボロボロの布を纏った痩せ細った少女。
大通りの真ん中で、蹲り遠目でも怪我をしているのが分かった。
すすり泣く少女に、 は大通りに出ようとしたが、歩き出す前にその肩を掴まれた。

「待ちなさい、

振り返れば、レイリーの姿。
ただ、いつもより纏う気配は険しい。

「あの子、ないてるの」
「そうだな。だが助けてはやれない」
「どうして?」

幼い問いに、レイリーは小さく息を吐いた。
少し見ていなさい、との言葉に従い は少女を見守る。
すると、カプセル状のマスクを付けた奇妙な出で立ちの男が、少女を足蹴にしていた。

「あれは天竜人だ」
「てんりゅうびと?」
「過去の遺物といっていいものだな。
世界政府を作り上げた王族の末裔だが、今ではその権力が暴走し、彼らがやる事を誰も咎めることができなくなった」

レイリーの言葉を完全に理解はできなかったが、自分には、そしてレイリーにもどうすることもできないことは分かった。
目を背けることは簡単だったが、傷つき泣いている少女がいるのは事実で・・・
何もできない自分はただ見ている事しかできない。

にはどう見える?」

投げられた問いに は抱いた感情に近い言葉を探す。

「・・・すごく、イヤなかんじ」

ぴったりの言葉が見つからない。
ただ、その言葉が今の自分に渦巻く思いと近い。

「あのてんりゅうびともイヤだけど、なにもできないわたしもイヤだ・・・」

同じ場所に生きているのに、あそこだけ、シミみたいに暗い。
周りは明るいのに、そこだけぽっかり穴が空いたような・・・
ただ見ていることしかできない自分がやるせない。
手を差し伸べることができないのが悲しくて悔しい。

「ねぇ、レイリー・・・」

肩に置かれた手に縋るように、悔しさを紛らわすように、 は掴んだ。
それはきっと幼すぎる力だけど、精一杯、渾身の力を込めて。
すると頭上からはいつも通りのレイリーの声が降ってきた。

「なんだね?」
「どうして、こんな風になっちゃったのかな?」
























ーーそれは が世界を見て答えを出すべきものだなーー
























2013.7.15

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