何の気まぐれか、一人の孤児を拾った。
出会ったのは親友と呼べる者がこの世から消えた日。
満月がとても明るかったのを覚えている。
そして、その子は不思議な力があった。
それは"覇気"と呼ばれるものでーー
だが、こんなに幼い者がそれを呼吸するかのごとく使いこなしているは信じ難かった。
ーー片鱗ーー
いつものようにバーに入ろうした。
だがその私の腕を、幼い手が捕まえる。
「どうした、 ?」
「はいっちゃダメ」
なぜそんな事を言うんだ、と問おうとした瞬間だった。
ーーガシャーーーンッ!ーー
「ケンカだ!」
「海賊が暴れてるぞ!」
今、まさに入ろうとしたその店から凄まじい騒ぎが起こっているのが分かる。
しかし、そんな事より気になることがあった。
「どうして、分かったんだ?」
場所を移した所で、 に問えばその幼子はきょとんとした表情を向ける。
「うん?なんとなく」
ーーあどけない表情を浮かべるこの子は、天性の資質をもっているのかもしれないーー
2013.7.15
Back