レイリーに拾われてもうすぐ一ヶ月が経とうとしていた。
身寄のない自分を引き取ってくれたことに感謝しているが、物好きだなとも思っていて・・・
それを言ってみたら、歳不相応なことを言ってくれるな、と大笑いされたのは記憶に新しい。
ーーMy Brotherーー
さて、今日はレイリーから昔話を聞かせてもらおうか、それともシャクヤクから料理を教えもらおうか。
身支度を整えて、シャクヤクの店のドアを開くと、いつもの光景に新たな姿が加わっていた。
「あら、 。おはよう」
「おはよう、シャッキー」
きっちりと返事を返し、カウンターに座るレイリーの隣に目をやった。
そこには手袋をかぶったような髪、人間とは明らかに違う6本の腕。
「おはよう 、ちょうどいい所に来たな」
こちらに気付いたレイリーはこっちにおいでと手招く。
それに応じ、てこてこと近づいていくとレイリーから手を取られた。
「ハチ、紹介しよう。この子は だ。 、この子はハチ。
以前、海で遭難した私を助けてくれたんだ」
手早く説明したレイリーに、ふーん、と は訳知ったようで。
幼い二人は距離を縮める。
「はじめまして、 です」
「にゅっ。おれはハチだ、よろしくな」
「はっちゃんって呼んであげて、 」
タバコを片手に言うシャッキーに は頷く。
「レイリーをたすけてくれたの?」
「にゅっ?そうだぞ」
ハチの言葉に、 は小さな頭を下げた。
「ありがとう、レイリーをたすけてくれて」
「きにするな、にんげんじゃあ海でそーなんして、たすからないからな」
得意気に胸を反らすハチ。
その幼いやり取りを見守るレイリーとシャクヤク。
「はっちゃんの方がちょっとだけ より年上ね」
「そうだな。仲良くやってくれ二人とも」
二人の言葉を受けた は、おずおずと手を差し出した。
ーーよろしくね、おにいちゃんーー
2013.7.15
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