大規模討伐作戦の翌日。
大きなケガ人もなく、作戦は無事に成功した。
このまま魔物の被害が収まってくれれば良いが・・・
そう思いながら、の調べ物の手が止まる。
窓の外はこちらの心情を笑うように晴れ渡っていた。
























































































































ーーAct.1-8ーー





























































































































ーーガシャン、ガシャン、ガシャン・・・・・・ーー

しばらくして、部屋に近づく足音には扉へと近づいた。
扉を開け、廊下に顔を出してみると、足音の主はナイレンだった。

「隊長?
朝からどこに行っていたんですか?」
「おぅ、
昨日の森にちょっとな」
「何か気になる事でも?」

隊長ともある目の前の男が、何の目的もなく行動するはずがない。
先を読んだの言葉に、ナイレンはいつもの笑いを浮かべる。

「なぁに、ちとな」
「おおよその話はユルギスから聞いてます。
ちょっと待っててください」

言うが早いか、は廊下に隊長を足留めすると部屋へと戻る。
そして、机にあったメモを手に取ると廊下へととって返す。

「ど〜ぞ」
「これは?」

受け取ったメモに、ナイレンから不思議そうな視線が返る。

「これから、ルオドーさんのところに行くんでしょう?」
「まぁな」
「今回の魔物の騒動、それに季節外れの紅葉。
過去に同じような事例がないか調べておきまきした」
「お!それは助かる」

嬉しそうなアリスブルーとは対照的に、の表情は晴れない。

「ただ、あまりそういった類いの事件はありませんでした。
やはり専門家に一度話を聞いた方が良いんじゃないかと思います」
「専門家、ねぇ・・・」

顎をなでる隊長の姿に、の思考も深くなる。
と、何かを思い出したようにがそういえば、と声をあげる。

「確か住民から近くに魔導士がいるって噂を聞いた事があります」
「本当か!?」
「恐らく・・・ただ、その人がエアルの専門家かどうかは分かりませんが・・・」
「その辺はガリスタに確認しとく」
「えぇ、お願いします」

トントンと話がまとまっていく。
隊長不在時の街の警備、不足の事態における対処法などなど。
だが、ナイレンの最後の一言はいつも決まっていた。

「ま、細かいことは任せた」
「・・・そう言ってもらえるのは、ありがたいんですけど・・・」

言葉を濁す
ナイレンは何か不都合か?とばかりに、を見返す。

「単刀直入に申し上げても?」
「おぅ」

短い肯定には笑みを深くした。

「外回りの任務を私にください」

ナイレンの動きが止まる。
対するの笑顔は変わらない。
徐々に表情を戻していくナイレン。
そして、重く閉ざされた口が開かれる。

「どうして今だ?」
「常日頃より申し上げてます」

ぴしゃりと言い返される。
隊長はガリガリと頭を掻くと、ため息を落とした。

、前にも言ったがな・・・」
「私も何度も申し伝えてます。
何もやましい隠し事なんてありません。部隊から外される理由が分かりません」

全く退く気がない
ナイレンは何度目か分からないため息をついた。

「お前はそう言ってるが、昔と比べりゃ・・・」
「隊長もお年を召しましたから、眼鏡が曇ったのでは?」
「・・・ケンカ売ってんのか?」

渋面で唸るナイレンに、は堪えきれず吹き出した。
肩を震わせるに上司から低い声がかかる。

・・・」
「す、すいませ・・・くっ・・・・・・」

ひとしきり笑った後、目尻の涙を拭ったは顔を上げた。

「ま、冗談は置いておいて。
外回りの件は本気です」

すっと、真剣な視線が刺さる。
いつも以上に頑なな副隊長の姿に、ナイレンは諸手を挙げた。

「はぁ・・・・・・分かったよ」
「じゃあ!」
「ただし!」

続きを遮られ、は怪訝な表情を浮かべる。

「・・・何の条件をつける気ですか?」
「たいしたことじゃねぇ。
今回の魔導士捜査は外れてもらう」
「そんな!」
「そっちは俺が行くんだよ。帰ったら別の任務をやる」
「・・・・・・本当ですか?」
「俺が嘘ついたことあるか?」
「ええ。
数えきれないほど」

清々しいほどに、ナイレンを一刀両断する
口元を引きつらせるその上司。
反論がないのは、心当たりがあるからに他ならないだろうが、今日はフォローしてやらないと決めただった。



























































あとがき
軍師のところに行くまでの一コマ。
ヒロイン、ようやく外回りできます。





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2019.2.1