まるで巻き戻されていくテープのように情景が次々に移り変わっていく。
やがて視界が光で真っ白に塗り潰された。
その時、
「理解できたかしら?」
ーー現存する神の意志ーー
響いた声に、皆の意識が現実へと引き戻された。
誰もが呆然としている。
それを見たは、まだ無理かとばかりにソファに背中を預け、足を投げ出す。
しばらくして、ようやく回復したらしいラビが手を挙げた。
「えーと・・・しつもーん!」
「何?」
「イノセンスを人間にくれたんはウリエル・・・ってか、なんだよな?」
「そっ。元々イノセンスは、この世界を滅ぼそうとする主神に対抗するため、ノアの力の一翼となるために私が与えたものよ」
すらすらと答えていく。
ラビの質問は続く。
「でもさ、同時にAKUMAを滅ぼす武器な訳で、それがノアを攻撃する効果があったのはどうしてなんさ?」
「それは力の発生元、属性が違うから生じたアクシデントってヤツね」
「?」
の答えに疑問符を浮かべるラビ。
それを見たは呆れて言う気も失せた、とばかりな表情を浮かべると紅茶に手を伸ばし足を組み直した。
「はぁ、話にならないわ。コムイ、解説よろしく」
「え!?え、えーと・・・
ノアの力はちゃん自身の力を分け与えたもので、イノセンスは主神から貰ったっていう神の力。
二人は別人で、その上ちゃんは主神と敵対したから互いに相反する存在になった。
大雑把に言えばこんなところかな?」
コムイの答えに、は上々だとばかりに肩を竦めた。
「流石、伊達に室長じゃないわね」
「ちょ、ちょっと待て!」
会話に割り込むように、バクの焦った声が上がる。
「聞いた話だと、本当の敵はその主神・・・になるだろ?でも、俺様達は伯爵の世界終焉を阻む為に戦ってきたんだ。
それが・・・その伯爵が敵じゃないなら・・・」
言い淀むバクに、はカップをソーサーに置くとにやりと笑った。
「私が、なぜわざわざ中央庁の息のかかっていない者を、と指定した理由が少しは分かった?」
「「「「「!!!」」」」」
その言葉に、クロス以外に衝撃が走った。
ようやく理解してもらえたことで、は立ち上がると話し始めた。
「伯爵は世界終焉を目論む、全人類の敵。
そう掲げ黒の教団を作り、ノアの一族を根絶やしにしようとしてる者らがいる」
皆がを視線で追う中、は淡々と話し続ける。
「ハートの戦いより7000年。
私は人間達に、ノアの助けとなるようにイノセンスを与えた。でもそれが歪められ、ノアを倒す武器となってしまった・・・
神の意志、という宗教を用いられたことによって、ね」
「なっ!?」
「それは!?」
「まさか・・・」
皆の顔からどんどん血の気が失せていく。
歩みを止めたは、普段は見せない真剣な表情で、皆が心に思っている言葉を肯定するように口にした。
「そう、主神の意志はこの世界に存在するの。
神の機関、ヴァチカンにある『中央庁』という名の下に」
Next
Back
2014.2.9