「どういうことだ!なぜ書類の一枚も出てこない!?」
黒の教団本部内に、怒り狂った怒号が響き渡った。
ーー立つ鳥、痕跡のカケラすら残さずーー
に、というか科学班所属のジェシカ・キャンベルにスパイ疑惑をかけた張本人が、その被疑者の捜査の指揮を執っていた。
しかし、中央庁の職員が部屋をひっくり返しても、調査していたという遺跡の書類一枚も出て来ない。
証拠の一つも出てこないことで、ルベリエも自ら手近のクローゼットを開け放つ。
すると、
『ハッズレ〜、ハゲ上がるまで探せハゲv』
ーービリッ!ーー
まるでこの扉をルベリエが開ける事を見越していたような張り紙。
ルベリエは思わずそれを破り取り、怒りをぶつけるようにそれをこれでもかとぐしゃぐしゃに丸めた。
「いいか!何としてでも、見つけなさい!
あの女が調べていたと思われる遺跡!事象!書類!なんでもいい、かき集めなさい!」
ヒステリーに近い叫びと見た事がない怒りっぷりに、中央庁の職員は涙目になりながら、必死にその痕跡の捜索にあたった。
だが、黒の教団本部に、ジェシカ・キャンベルを見、話をした者はあっても、彼女が関わったとおぼしき書類などは一切出て来なかった。
後に、この事件は黒の教団七不思議に加えられることになったと言うのは、また別のお話し。
>余談
「。お前、教団に荷物とか取りに行かなくていいのかよ」
「必要ないわよ。いつでも引き払えるようにしていたもの」
「ほぉ〜、そりゃ手際のいいこって」
「ふん。学なし落ちこぼれと一緒にしないで欲しいわね」
「・・・そりゃ、すいませんねぇ」
(「へっへ〜ん、せいぜい無駄な努力しろってもっと禿げろってんだ、ハゲ」)
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2013.11.4