ジョニーが退団し、神田が消えた3日後。
はリーバーと共に中東へ出張することになった。

(「うはー、また鞄持ち・・・別な人立てればいいのに・・・」)

という、の心の声など聞き届けられる訳もなく。
方舟ゲートを使い、そこから汽車に揺られる事、6時間。
ようやく目的地に着いた。
着いたのだが・・・

「本部科学班の方ですね!遠いところからよくぞお越しくださいました。
で、これがお渡しするものです」

そう言って研究員から渡されたのは書類が一束ほど入っているような薄い封筒。
思ってもみなかった出張内容に、リーバーは去って行く研究員に突っ込むこともできない。
リーバーの後ろに控えていたも同じ感じだった。
しばらくして、

「もしかして・・・これだけ、ですか?」
「・・・みたいだな」

冗談ですよね?という、乾いた笑みを浮かべるに、リーバーも同じような笑みを返すことしかできなかった。


































































ーーかけられた嫌疑ーー


































































片道6時間の出張は、単に書類を一束受け取っただけで幕を下ろした。
拘束時間の割りに実りも何もない。

(「・・・来るんじゃなかった」)

と、貧乏クジだった怒りを紛らわすように、リーバーに飲み物を買ってくると断りを入れたは、発車待ちの汽車から離れて行った。
待ち時間で本部から持ち込んだ仕事をしようとしたリーバーだったが、タイミングを見計らったようにゴーレムが本部からの通信を知らせた。

「はい、こちらリーバー」
『リーバー班長?』
「室長?どうしたんすか?」

まさかコムイからとは思わず、リーバーはジト目でゴーレムを見据える。

(「またこの巻き毛は仕事をさぼって・・・」)

恐らく今頃、フェイ補佐官が本部内を捜し回っているだろう。
毎度毎度、サボる事に関してだけはその能力を余す事なく発揮する。
まぁ、それだけじゃないことも分かってはいるのだが・・・
溜め息を隠す事なく零したリーバーだったが、コムイは固い声のまま続けた。

『そこにジェシカちゃんはいるかい?』
「?いや、今はいないっすけど・・・」

わざわざ確認するようなそれに、リーバーは訝しむ。

「どうしてんなこと聞くんすか?ってか、仕事サボらんでくださいよ」
『これから僕の話を落ち着いて聞いてほしい』
「?」

リーバーを遮るコムイに、ようやくただ事ではない事を察し居住まいを正した。
だが続きはすぐに返らず、痺れを切らしたリーバーが再び聞き返そうとした時、コムイは話し始めた。

『実は・・・ジェシカちゃんに、スパイの嫌疑がかけられてる』
「なっ!?」

思わず、リーバーは立ち上がった。
そしてすぐに本人が近くにいないことを確認すると、声を潜めゴーレムに向き直る

「どういう事っすか!一体誰からーー」
『ルベリエ長官だよ』
「!」

リーバーは言葉を失う。
あの容赦ない人物に目を付けられた。個人的に言わせてもらえれば、あの男は好きになれない。
どうしてそのような疑いがあの男からかけられたと言うんだ・・・
その心情を察してか、コムイは同じ調子で事情の説明を始めた。

『黒の教団の入団に際して提出された書類のほとんどが偽造だったらしい。
まぁ、科学班にいたから全てがそうとは限らないだろうけどね・・・』
「でも・・・でも!それだけでスパイだって疑うのは・・・」

尚も食い下がるリーバーに、コムイは声を、感情を荒げる事なく淡々と言葉を紡いでいく。

『ジェシカちゃんが調べていた古代遺跡、中央庁には報告がされていなかったらしい。
最悪のケースも考えて、彼女の身柄を確保することが決まった』
「最悪のケースって・・・まさか・・・」
『伯爵に内通してるかもしれないってことだよ』

ハンマーで頭を殴られたような衝撃が走った。
あの、ジェシカが?
伯爵と・・・世界の敵と内通しているかもしれない?
タップを殺した敵と、たくさんの仲間を次々に手をかけた敵と、世界を終焉に導いているその敵と同じ側にいるかもしれないというのか?

「冗談、じゃぁないんすよね・・・」
『・・・』

からからに乾いた喉から、ようやく絞り出した問いに返されたのは沈黙。
暗に肯定されたことで、リーバーはぐっと唇を噛んだ。

『今、中央庁から鴉が向かってる。予定ではゲートの所で引き渡されると思う』
「・・・・・・」
『君には時間が必要だろうと思ったから知らせた。
自分の気持ちは整理するんだよ』

コムイの声に、リーバーはどんな言葉を返せばいいのか分からなかった。















































ばれちゃったぁ。。。




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2013.11.4