任務から戻り、コムイとリナリーの口争が老師の葬儀参列のために一時中断となったマリは、今のうちに食事を済ませるかと食堂にやってきた。
来た時間がピークを過ぎていたが、そこはいつも通りがやがやと賑やかな音が響いている。
と、窓際に聞き慣れた心音を捕らえたマリは、その場に足を進めた。
ーーコンビ結成、その裏にいた人物ーー
「あら、マリじゃない。おかえりなさい、座る?」
「ああ。邪魔するぞ」
「どーぞ」
そう言って、はテーブルの上をごそごそと片付けると、マリからトレーを受け取り、テーブルに置いた。
「仕事か?」
「んー・・・まぁ、ちょっと目を通しておきたいのがあって。
科学班でやりたかったんだけど、リーバーが食事くらい行けって言われてね。
まったく、目敏いったらないわ」
「そうか」
自分の前で見せる、普段通りの彼女の様子に苦笑を浮かべながらマリは食事を始めた。
しばらくして食事を終えると、近くに人がいないタイミングでマリは対面のに話し始めた。
「知ってるか?」
「ん?ふぁには?」
「・・・口に物を入れて喋るもんじゃないぞ」
マリの注意にスプーンを口に咥えていたは、仕方なくそれを置き当人に向き直った。
「で?何の事?」
再び周囲に人がいない事を確認したマリは、声を潜めた。
「神田の事だ。ジョニーを追いかけて行ったんだ」
あいつが協力するなんて信じられん、というマリに、
「だって私がいろいろ教えてやったし」
けろっと、対面から思いもよらぬ答えが返ってきた。
予想もしていなかったそれに、マリは固まった。
それに構わずは続ける。
「そもそもさ〜、中央庁がこのタイミングで黙ってジョニーを家になんて帰す訳ないじゃない?
神田も何気に切れる子だけど、細かいとこまで頭が回るとは思えなかったし。
だからジョニーが自分と同じ目的なら護衛として付いてくんじゃないかなぁって思ったのよ」
「・・・・・・は?」
「何よ、『は?』って」
このタイミングで疑問を返される意味が分からない、というようなにマリは進み過ぎた話を戻した。
「お前が教えたのか?」
「え、そこから?」
「そこからだ」
かなり最初の方まで話を巻き戻されたは、不満気ながらも話し始めた。
「だって、教団の捜索網なんかであのクロスの弟子が捕まる訳ないじゃない。
4年かかってもクロスの尻尾さえ掴めなかったのよ?
それに私も、アレン・ウォーカーにはちょっと聞きたい事ができたからさ」
悪びれる事もなく言うに、はあぁぁっ、と重い溜め息をついたマリは頭を抱えた。
「だから神田を使ったのか・・・人が悪いぞ」
「いいじゃない。向こうもアレンに用事があるみたいだし。
ギブアンドテイクよ」
「はぁ・・・」
科学班にいる時のしおらしさなど、そこにはない。
これがなのだと分かっていたマリだったが、いいように使われている神田に心中で合掌した。
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2013.11.4