リーバーに休暇を言い渡された。
そのため科学班に顔を出す事ができなくなり、仕方なくある場所へと向かう事にした。
それはノアの能力で作り出された、異空の扉。
そこを抜ければ、美しい庭園が広がるある屋敷の前に出た。
ーーさぁて、言い訳なら聞いてやるーー
ーーバキッ!ーー
美しい庭園には似つかわしくない、鈍い音が響いた。
「っ〜〜〜!いきなり、何すーー」
「あんた、私を仲間にしたいんじゃなかったのかしら?なら、ご機嫌損ねることするのは感心しないわねぇ。
さぁて、言い訳なら聞いてやるわ、言ってみろ」
ティキの屋敷に付いて早々、当人を見つけたは渾身の力で殴り飛ばしてノンブレスで言い放った。
呆気に取られていたティキだが拳を鳴らし、静かなる怒りモードなを見て仕方なく口を開いた。
「なんだ、北米支部のこと言ってんのか?
あれを俺らのせいにしてもらっちゃ困るぜ、やったのはアルマ=カルマだろ」
そう言ってティキは立ち上がれば、服についた埃を払う。
一方、放たれた言葉にの片眉がピクリと跳ねた。
そして、先ほどよりも険しい視線を向ける。
「その、アルマ=カルマを利用したのはあんたらでしょ?」
「元々の憎悪が甦っただけだろ?」
「そうだとしても、蓋を開ける必要はなかったわ」
「なら、そのアルマがずっと道具として利用され続けてても良かったってか」
「!」
また、こいつは・・・
人間の心情を分かったようなことを、その口に乗せる。
「どうして、ノアのあんたがそう言う事・・・」
「別に。人間ならそう思うんじゃねぇかって思っただけだよ」
は俯き、拳を握った。
「ノアの、くせいに・・・」
惑わされるな。
こいつは敵で、自分を殺そうそしていた奴で。
多くの人間を迷う事なく手にかけてきたんだ。
言葉に詰まるをしばらく見ていたティキは、壁に背中を預けると煙草を取り出す。
「お前はあの少年とは違うな、」
「は?誰の事?」
「アレン・ウォーカーだよ」
「・・・どういう意味?」
紡がれた名前に、は怪訝な表情を浮かべる。
ティキは煙を吐き出すと続けた。
「お前は自分を知ろうとしている。
そのための分を弁えてるし、払うべき犠牲も払ってる」
「私は犠牲なんて払ってないわ」
「なら、どうして俺達が北米支部を襲撃した時、エクソシストとしてあの場に来なかった?」
「それは方舟のゲートが・・・」
「なら、ゲートが使えたら来てたと言い切れるか?」
「っ!」
言い返せなかった。
あの時、ゲートが不通だと知らされた時、確かに安心した自分がいた。
でも同時に、悔しい思いも確かにあったんだ。
「・・・どちらにも組する気はないのは変わらないわ。でも、今まで培ったものも無視できない。
それで身体が動くのは仕方ないじゃない。私は、貴方達ノアとは違う・・・人間だもの」
は吐き出すように、ティキに思いを叩きつける。
しかし、それを聞いていたティキは喉を鳴らした。
「くっくっくっ・・・俺達とは違うか」
「何が可笑しいの?もう一発、食らわせるわよ?」
ぐっ、と拳を握るに、ティキは煙草を片手に肩を竦めた。
「もう腹一杯だ。要らねぇよ」
「なら、答えろ」
「人間かどうか、それを調べる為に教団にいるんじゃねぇのか?」
「それ、は・・・!」
ティキの指摘に、は咄嗟に言い返す言葉が浮かばなかった。
間を置く形になったことが、暗に肯定を示したようで、は憎々しげに呟いた。
「・・・違う。
自分の立ち位置をはっきりさせたいのよ」
「どう違う?
人間でない奴が教団に戻れるのか?体のいい駒にされるのが落ちだ。
それこそ、アルマ=カルマのようにな」
ついに、は何も言えなくなった。
教団が利用する可能性が十分にあるからこそ。
教団がどのようなものかを知っているからこそ。
ティキの言っている事の方が的を得ているのが分かってしまったからこそ、何も・・・
再び俯いてしまっただが、キッと険しい視線を向けた。
「・・・一つだけ、訂正させてもらう」
「?」
「アルマは駒にされたんじゃない。
大義の下に犠牲を強いられただけよ。だからこそ、最期は自分の選択をしたの」
「モノは言い様だな」
「うっさい、学なし」
もう、最初の話からずれまくっている。
これでは、ただの悪態の付き合いだ。
それまで面白いものを見るようにしていたティキは煙草を口に咥え直すと、もう飽きたとばかりにに背を向け肩越しに言った。
「どう言い繕ったところでお前はこっち側さ、」
「・・・結論は、まだ出てないわ」
が今できるささやかな反抗は、それだけだった。
>余談
「そーかい、そーかーー」
ーータッタッタッタッ、ゴスッ!ーー(膝蹴)
「どわぁっ!何すーー」
「煙草、嫌いだっつてんでしょ」
「お前な、それただの八つ当たーー」
「うっせ!恥ずかしいアダ名持ちが!」
さん、揺れています。。。
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2013.10.26