「はぁい、ヘブラスカ。久しぶり」
「・・・か・・・」
「流石、分かるんだ?」
「お前、の・・・イノ、センス・・・
・・・波動、が・・・・・・他とは、違・・・う・・・」
「ふ〜ん」
ーー専門家に任せるという他力本願ーー
天誅を下し終えたは、本部地下にいるヘブラスカの元を訪れていた。
そのまま上にいても、ハッスル集団の相手をしなくてはならない。
そんな面倒はごめんだとばかりに、ここに来たのだ。
「大元帥方はご不在ね。ま、それを見越して来たんだけど」
ちらりと、上を見上げれば初めてここを訪れた時に、こちらを偉そうに見下ろしていた奴らを思い出す。
当時を思い出し、むっ、とムカッ腹がたった。
そう言えば、あの時、確かヘブラスカに何か予言を受けたが・・・
(「そういや、何て言われたんだっけ」)
「どうして・・・ここ、に・・・?」
ヘブラスカからの問いに、は考え事を中断した。
「恐らくコムイと科学班の発明品がトラブルを、ね」
ホント、迷惑極まりない話だ。
こんな連中が戦争の前線に立っていた時に、サポートしていた側だとは・・・
お茶目な発明と言うには、少々というか、かなりな問題ではなかろうか?
(「中央庁もしっかり管理しとけってぇの。
ケーキばっか作ってないで、さっさと糖尿病にでもなれってんだ」)
某人に対する文句を、つらつらと思い並べる。
ふー、とは頭を振った。
「ここは、静かね。上とは大違いでいいわ」
はエレベーターの手摺に腰掛け、足を組んで呟く。
こんな素でいられるのも、恐らくはあとちょっとだけ。
ヘブラスカにもこれから事情を話す。
そして上が解決すれば、待っているのは一人だけの孤独な戦い。
世界の敵になるのか、それとも救済者になるのか。
どちらの側に立つかを、自分の目で見極めなければならない。
(「ま、本音を言えば、どっちもゴメンなんだけどな・・・」)
厄介なものだ。
関わりたくないと思っていた自分が、自ら渦中に立たなければならないなんて。
宿命だの、運命だの、信じるつもりなどない。
今までだって、自分の手で何とかしてきた。
そうだ、だから今回だって・・・
「大、丈夫・・・なの、か?」
ヘブラスカの声に、はたと我に返る。
どうやら結構考え込んでいたようだ。
「上?んー、アジア支部に応援頼んだし、大丈夫じゃない?
あればっかりは、専門家じゃないと無理だし」
「・・・そう、か・・・」
そう、大丈夫だ。
今までと変わらない。戦う場所が変わっただけなんだから。
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2013.10.14