「あんたも、大概しつこいわね。行かないって言ってるでしょ?」
「そう言うなって。話ぐらいーー」
「理解する脳みそがない阿呆で学がない馬鹿な浮浪者と話すことなんざないわ」
「・・・それって、もしかしなくても俺・・・?」


























































ーー落ちこぼれティッキーの勧誘道中、その2:早くも最終手段、力尽くでやってみるーー


















































ドイツ、ミュンヘン郊外。
田園風景が美しいそこに、景観とは似つかわしくない言い争う声が響く。

「だいたい今まで殺そうと好き放題やってたくせに、今更話を聞けたぁ、随分自分勝手よね」
(「自分勝手って・・・お前が言うか・・・」)

の前を立ち塞ぐようにしていたティキは内心で呟く。
だが、このままでは埒が明かないと判断しに向き直る。

「ま、それもそうだな・・・じゃあーー」

ティキが手を横にかざせば、現れたのはあの蝶型のゴーレム。

「荒っぽいが死なねぇ程度に肺に穴でも開けて、抵抗できなくして姫をお連れしますか」

それを見たは視線を鋭くし、手にした鞄を横に放った。

「・・・それ、攫うって言うんだけどそんな言葉知ってるかしら?」
「あー、知ってる知ってる」
「結局、力尽くとは芸がない奴」
「ほっといてちょーだい」

ティキの手がに伸ばされる。
対するは毅然とした態度を崩さず、ティキを真っ直ぐに見据えるだけで動こうとしない。

(「あいつが能力を発動する一瞬、動きが止まった瞬間に弦月を叩き込めば勝機は十分・・・」)

その場で構えるだけの
ティキは何をしても無駄だと、その手を・・・

「そんな大口も、すぐに叩けなくーー」
ーーふにゃーー
「は?」
「へ?」

互いの時間が止まった。
能力によって透過するはずのティキの手は、ばっちりとご自慢の膨らみをキャッチ。
要するに、鷲掴みと言う状態。
こればっかりは予想していなかったも絶句している。

「・・・・・・」
「あ、あれぇ〜・・・おっかしいなぁ」
「・・・・・・・・・」
「少年と殺りあってから、どうも調子が悪いみたいだ〜」

乾いた笑いを上げるティキだが、相手は、全くの無反応。
この状況でそれが逆に恐ろしい。
ティキは何事も無かったように、おずおずと胸から手を離す。

「こんなこともあるんーー」
ーーガシッ!ーー
「!」

それまで何の動きを見せなかったが、ついに動いた。
肩を跳ねさせたティキが見たのは、とっても綺麗な笑顔。
付け加えるが、掴まれた腕がミシミシとしなっている。

「言いたいことはそれだけ?」
「わ、悪気はなかったんだぜ?」
「あら〜、そうなのv」
ーーゴスッ!バキッ!ーー
「〜〜〜っ!」

治りかけの傷に響くボディブロー、次いで右ストレート。
ダウンは阻んだが、尻餅をつく情けない格好だ。
だがそれで終わる事なく、の足蹴が腹部に決まり、こちらを睥睨していた。

「私がそんな言い訳を真に受けて許すとでも?」
「い、いや不可抗rーー」
「高くつくわよ」

田園風景に悲鳴が響き渡った。





≫≫結果、思わぬハプニングに返り討ちにあってしまった




































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2013.9.30