音だ、ピアノの音が聞こえる。
それはとても懐かしい響きで。
・・・そうだ。
この歌は、昔あの子達に歌ってあげた・・・





























































ーー追憶の唄 後編ーー






























































意識が浮上する。
何故か嫌いなあいつのコロンが鼻を突いた。
目を開ければ、まさかのあの赤い髪。
ああ、なんてロクでもない悪夢・・・

「ク、ロス・・・」
「起きやがったか、とっとと目ぇ覚ませこのバカが」

なんで夢でまでこいつに罵られなきゃならないんだ。
目が覚めたら、絶対殴ってやる。
だが、今はそれよりも気になることがあった。

「ピアノ・・・」
「あぁ、お前の力もねぇとまともに動かん。
さっさとてめぇの仕事しやがれ!」

叩き付けられるようなクロスの声。
夢現である は緩慢に起き上がると、支えていたクロスから離れた。
もう足場が残っているのはクロスとリナリーが立つ僅かな場所しかない。
しかし、崩れ落ちている場所を歩く の足取りは、まるで水面を歩いているように波紋を残した。

『・・・この、調べ・・・あの子に教えた・・・歌・・・』

再び は光を纏う。
それを見たクロスは通信機に手をかけた。

「通じろ!」

そして、 の口が動き出すと、唄い始めた。














































ーーそして坊やは眠りについた
  息衝く灰の中の炎 ひとつふたつと
  浮かぶふくらみ愛しい横顔ーー

















































(『さぁ、方舟よーー』)














































ーー大地に垂るる幾千の夢
  銀の瞳のゆらぐ夜に生まれおちた輝くおまえーー














































(『ーー我が子の意志に・・・』)














































『方舟を操れアレン!お前の望みを込めて弾けっ!!』
「の、望み!?
望みは・・・・・転、送ダウンロード を・・・方舟を・・・・・・」













































『思いつかないかい?』
「!」












































(「そうだ・・・僕の、望みは・・・!」)













































ーー幾億の年月がいくつ祈りを土へ還しても
  ワタシは祈り続けるーー

















































「・・・ぇせ・・・」
















































(「返せ・・・僕の仲間を、返せっ!」)
















































ーーどうかこの子に愛を
  つないだ手にキスをーー















































(『従え!』)
「消えるな、方舟ぇぇぇ!!!」

















































方舟の崩壊が止まると同時に、 は再び崩れ落ちた。













































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2013.9.30