ーー不吉な知らせーー











































































































駅へと戻ってみれば、追い返したはずの新人がこちらに深々と頭を下げていた。

「・・・あんた、物好きな奴ね」

普段なら、手酷くあしらえばほとんどのファインダーは消えてくれた。
はっきり言ってその方が気楽だったことも事実だ。
特に自分が出張る任務は、味方が生き残ることがほとんどない。
不運にも生き残れば、凄惨な現実を見る羽目になる。
それで何人が黒の教団を辞め、要らぬ噂が立ったことかもう考えるのも馬鹿らしい。
にもかかわらず、生真面目に任務をこなそうとする目の前の約一名。
間違いなく変人の部類だ。

「エクソシスト様をサポートするのが、私どもファインダーの仕事ですから」
「あっそ」
「それとアジア支部長より、通信が届いております」
「・・・バクから?」

盛大に顔をしかめてやれば、ジョージはビクついた。
そんなに怖いなら消えてくれ。
と言ってやりたい所だったが、そのやりとりも面倒だ。
仕方なく返事の代わりに電話へと向かい、ゴーレムと繋ぐと目的の相手へ回線を繋ぐ。

「何の用?」
『・・・開口一番、ご挨拶だな』
「そりゃあねぇー、こぉんな管轄境に引っ張り出された挙句、いるのは雑魚、イノセンスは空振り、実りも何もない苛立ちとストレスとお尻が痛くなるだけのロクでもない任務を押し付けた張本人からの通信だもの、文句の100や200言ったって罰は当たらないと思うけどぉ?」
『お前な・・・』
「じゃ、用がないようだから切ーー」
『わーっ!待て待て、ある!あるから!』

焦りを見せるバクには深々とため息をついて見せる。
そしてそわそわと汽車の到着を告げたそうなジョージに反応を返すことなく、電話口の相手を急っついた。

「さっさとしてよ、もうすぐ汽車が来るんだから」
『実は本部から連絡があった』
「・・・管轄外の追加任務なら受けないわよ」

先を予測して言ったに、バクはそうじゃないと続けた。

『ケビン・イエーガー元帥が亡くなられた』
「!」

耳に届いた言葉に、は声を固くした。

「・・・どういうこと?」
『まだ、状況が把握しきれていないが・・・
エクソシスト5名、ファインダーに至っては100名以上の死亡が確認されている』

まさか、このような辺鄙な所に来ている間にそんなことが起こっていようとは。
日々の任務でエクソシストが負傷するのは茶飯事だが、いきなり5人もの命が散るのは異常だ。
そうでなくても、確認されている適合者は少ない。
ましてや、そこで元帥が命を落とすなど・・・
何かの前触れ、もしくは千年伯爵が本格的に動き出したとしか考えられない。

「で、元帥を殺った奴もAKUMAなわけ?」

最悪な想像をしながらも、一番可能性が低いことをあえて口にする。
あの元帥もあの歳で前線に立っているのだから、万が一にもその可能性がある。
だがそんなこと、有り得るはずもないことは自分が一番分かっていた。
伯爵の力は未知数だ。
AKUMAの製造者。
全人類の敵。
世界を終焉に導く者。
どのような存在かは聞いても、未だに実物には出会えていない。
今回の行動が本当にそいつによる仕業だとすれば、この戦争の雲行きはますます怪しくなる。

『いや、AKUMAではないことは確認している』

予想通りの言葉に、は溜め息をついた。
これから先、バクから発せられる内容はきっと楽しい類いでないことが確定したようなものだ。

「やっぱりね。じゃあ、誰よ?」
『相手はーー』


































































































『ーーおそらく、ノアの一族だ』




















































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2020.4.3