ーー闇ーー
眠れず精神を蝕んでいく。
ぶつけようのないあてどないフラストレーション。
澱んだ感情の矛先で誰かを傷つけないように必死に内へ内へと押し込める。
繰り返し思考が囁くのは醜い想い、それらに耳を貸すまいと考えを別な方向に向ける。
だが、抗えない甘美な響きに引き摺り込まれる。
『、君には生きて欲しい』
(「ありがとう、ユリウス。でも・・・」)
堕ちてしまいたい、怠惰という快楽へ。
もうこの生命すら、煩わしい。
この肉体に存在しているという事実さえ、一呼吸する度に鬱陶しさが増し死への渇望に苛まれる。
伸ばした手は何を求めているのか。
何の努力もしなかった愚かな女に差し伸べられる手があるはずもない。
『ユリウス、本当は私・・・』
だが求めてしまう。
こちらを見つめて欲しいあの瞳を。
不器用で無骨な手を。
お前は強いと身の丈に合わない言葉をかけてくれるその声を。
こんな私よりあなたは強くて優しくて、存在が眩し過ぎる。
こんな醜い感情に囚われてしまっている私には抱くことさえ過ぎた願い。
けどどうか叶えて欲しい。
あなただからこそ叶えて欲しい願い。
私の人生において最大のワガママ。
その愛しい手でどうか私の生命を終わらせて欲しいという、ただ一つの願い。
無様に生き恥を晒しいている今だからこそ散らして欲しいのだ。
でも、きっとあなたはそれをしない。
優しいが故に。
それが私に対する最善だというのに、きっとしないだろう。
(「私は、あなたに生きて欲しいの。
その為なら・・・」)
それが嬉しくて悲しくて切ない。
だから自分で終わらせよう。
一歩踏み出せば散ることができるその一歩を踏み出す。
「待て、
!」
「じゃあね、ユリウス」
「やめーー」
ほら、生命を終わらせるのはこんなに簡単だ。
サブシナリオ予定
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2020.9.17