ーー始まりーー




































「ん?」

ポケットの中で振動するGHSに気付いたユリウスはそれを取った。

「俺だ」
『私よ・・・今、大丈夫?』
「ああ、どうかしたか?」

仕事中に彼女の方から連絡を入れるのは珍しい。
二人の関係を周囲に悟らせない為にも、このようなことは極力避けていたと言うのに。

『・・・ユリウスの個人情報にアクセスした形跡が見つかったわ。
それも扶養家族に至る所から人事部に照会と調査指令が出てた』
「アクセス源は?」
『・・・』

すぐに返答がないことを不審に思ったのか、ユリウスは怪訝な声を上げる。

?」
『社長秘書室、IDはヴェル・ルゥ・レイシィのものよ』
「・・・分かった」

それだけ答え、ユリウスはGHSの通話を切った。
そして心情とは裏腹な空を睨みつける。
彼女が告げた名。
それは同期入社でもある彼女の同僚の名前だった。































メインシナリオ予定。
ユリウス28歳、 31歳



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2014.12.31