ーーこれからも続く約束ーー





















































































































「・・・」
さん、ソレいつもされていますよね?」

蝶屋敷を訪れたにされるがままのしのぶは穏やかな声で語る。
それに対し、細い体に腕を回していたは満足したのかしのぶから距離を取った。

「いつもじゃないですよ?任務終わりにしかやってません」
「そう言えばそうでしたね。でもどうして毎度抱きしめるんですか?」
「えーと、ある方に教えてもらったおまじないなんです」
「おまじない?」
「はい」

首をかしげるしのぶにはふわりと笑って答える。
幸せそうに語るにしのぶも表情が緩くなった。

「どのような効果があるのですか?」
「・・・え?」
「?」
「え、えーと・・・」
「・・・」
「わ、忘れちゃいました」

はぐらかすには苦しい言い訳だったろうか。
困り顔のに、しのぶはふわりと笑い返した。

「あらあら、それは残念ですね」
「では残念なことをしてしまったお詫びに、桜餅買ってきたんです。
皆さんでお茶にしませんか?」

任務帰りのしのぶにそう言えば、仕方なさそうな笑みが返された。

「そうですね、そうしましょうか」
「じゃ、私はお茶淹れてきますね」

そう言って台所へ向かいながら、はさきほどのしのぶに言われた言葉を思い返していた。










『あの、カナエさん?』
『どうしたの?』
『その・・・どうして私は抱きしめられているのでしょうか?』
『任務が無事に終わったから』
『はい?』
『おまじないなの。好きな人に抱きしめられると心も体も傷の治りも早くなるのよ』
『そうなんですか!?知らなかったです』
『好きな人って発言にはスルーなのね』
『そ、そりゃカナエさんみたいな綺麗な方にそう言われれば同性でも悪い気はしませんし・・・』
『しないし?』
『現役の柱に好意の言葉をいただけるのは面映ゆいですけどありがたいし・・・』
『ふふ、なら良かったわ。ねえ、約束してくれないかしら。いつか・・・』












遠い日の約束。
それを聞いてから、互いの任務帰りはよくそうしていた。
古株の隊士に同じことをしていたら、杏寿郎と蜜璃からは喜ばれ、実弥は真っ赤になって激怒され、小芭内からは本気で斬りかかられ、義勇は固まった。
最後は天元から良からぬことをされそうになったことでカナエと行冥に怒られたが。
今となっては楽しい思い出だ。

「あ、アオイさーん。桜餅買ってきたんです。みんなでちょっと休憩にしませんか?」






















































ーー『いつか、私の代わりに抱きしめてあげてね』ーー






















































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2020.4.12