ーーキィンーー

頸がごとりと落ち、灰に変わる。
自分の担当が終わったことで、は小さく嘆息した。

「終わったようだな」
「はい」

かけられた声に同意を返す。
周囲に鬼の気配は感じられない。
任務は完了した。

「では戻るか」
「はい、悲鳴嶼さん」

頬に走った最後につけられた傷を甲で拭ったは、大きな背中に続いた。






















































































































ーー不覚ーー





















































































































久しぶりの合同任務は大きな負傷もなく終わった。
先に湯を勧められた行冥は、次の相手の部屋へ声を掛けた。

、湯がーー!」

瞬間、血の匂いに襖を開けた。

「何があった」
「あ・・・悲鳴、じま、さ・・・」
「何をしている!」

そこに居たのは、日輪刀の刃先を左手で握り締めた
ぱたぱたと血を流すに、行冥は日輪刀を取り上げた。

「気でも触れたのか!」
「っ!ちが・・・」
「止血が先だ、手をーー」
「やっ!」

血が流れる左手を取った瞬間、普段の彼女らしからぬ声が上がる。
それに身動きを止めた行冥は、厳しい表情を緩めた。

「・・・何があった?」
「多分・・・鬼の、毒で」
「毒抜きで斬ったのか」
「・・・いえ」
「では何故・・・」
「催いん、の・・・意識を保ち、たくて・・・」

息を荒くしながら声を絞り出す
その間も傷を付けた左手を力強く握り締めていた。
己に必死に抗うように、は弱々しく左手を引いた。

「薬、のみます、っから・・・部屋に、もどって・・・」
「止血する。耐えれるか?」

行冥の問いに僅かに肩を跳ねるが、はゆるく頷いた。
手拭いで血を拭き取り包帯できつく巻く。
手当ての間もは声を出さぬよう、必死に浴衣を噛んで声を堪えていた。

「手当ては済んだ。解毒薬は飲めるか?」
「は、はい・・・」

震える手で水が入った水筒を掴むが、その手元はとても危うい。
苦しそうな息遣いはそばに居てこちらも苦しいほどで。
今にも水筒を落としそうな緩慢な動作に、行冥は小さく息をついた。

「許せよ」
「っ!」

そう言って、から水筒を奪い自身が口にするとそのまま口移しで薬と共に流し込む。
痙攣したようには身体を硬直させるが、嚥下されると少しは落ち着いたように身体の力を抜いた。

「大丈夫か?」
「は、はい・・・」
「どれほどで効く?」
「・・・気休め、です」
「そうか・・・」

息を荒くするに、距離をあえて置いた行冥は一言問う。

「自分でできるか?」

その言葉には羞恥に顔を染めた。
どう答えるべきか。
とはいえ、まだ辛うじて残る自制心が柱の手を煩わせる事を否とする。

「・・・だい、じょう、です・・・悲鳴嶼、さんは、お休ーー」
ーーグィッーー
「お前はいつも相手の心配ばかりだな」

予想していたのか、嘆息と共にそう言った行冥に再びは抱えられる。
しかしそれに慌てたのはの方だった。

「だ、ダメです!こんな、醜たーーふぁっ!
「それだけ辛い状態を見せられては休めはしない」
「っ!」

衣擦れでさえ苦しいのか、ただひたすら身動きを取らぬように身を縮める。
汗で張り付いた前髪を退けられるだけで、耳元で声が聞こえるだけでの言葉は途切れた。
その度に手当てされた左手を握り締めるが、それを止めるように行冥が手を重ねた。

「お前が嫌なら止めるぞ」
「・・・」
「宇髄ほど達者ではないだろうしな」

僅かに苦笑を溢した行冥には近くにあった浴衣の襟元を掴んだ。

「悲鳴嶼さん・・・何とか、してください」

口移しで水を飲まされた時のように、優しく深く口内が乱される。
己の内の熱が収まらない中、は必死に行冥の首にしがみつく。
膝立ちのままのが倒れないよう行冥の腕が腰に回る。

「っ!」
「無理ならーー」

気遣う声にはただ首だけ横に振った。
それにさらに手は下へと伸びる。
衣がたくし上げられ太腿を伝い秘部へと無骨な指が滑られただけで、びくりと身体が跳ね自身の浴衣を噛むは荒く息をする。
行冥はその手を止める事なく、指の一本を中へと進める。

「っ!」
「痛むか?」
「・・・いえ」
「暫く堪えろ」

緩い動きで自身の中に入ってくる指に、は襲ってくる快感から逃れるように腰が浮く。
それを封じるように行冥の腕が抱き締める力を強めれば思わず嬌声が漏れた。

「ふぁ・・・っ!」
「ここで逃げても辛いぞ」
「分かって・・・あん!」

呼吸を乱しながら、はされるがままに行冥に身を委ねる。
指が出し入れされ、中で動かされる度に体が跳ねる。
息がどんどん荒くなるにつれ指は増え、の膝がついに限界になった。

ーーガクッーー
「はぁ、はぁ・・・」
「毒が消えたなら止める所だが」
「・・・生殺し、です」
「そうだな」

柔らかく笑う行冥に思わずは赤面する。
行冥は体勢を僅かに崩すと、座り込んでしまったを再び抱き抱えた。

「無理なら止めるぞ」
「・・・はい」
「ならゆっくり腰を落とせ」

優しい声に導かれるようには言われた通り腰を下ろす。
指とは比較にならない異物感に思わず腰が止まった。

「・・・っ」
「ゆっくりでいい」
「ふ、ぁ・・・っ」
、力を抜け」
「はっ、はい・・・」

言葉と裏腹に呼吸は浅くなる。
行冥は苦しげなの様子に、口付けを深くした。

「ふっ・・は、ん・・・」
「・・・」
「ん・・・ま、ひめ・・・」
ーーズッーー
「!!!」

酸欠になった瞬間、力が抜け一気に腰が落ちた。
突き抜ける快感に思わず目の前に星が飛ぶ。

、大丈夫か?」
「ま、だいじょ・・・動かないで、くだ・・・」
「うむ、ゆっくり呼吸をしろ」

ぽんぽんと背中をさすられ、苦しみは徐々に和らいでいく。

「大丈夫か?」
「はい、だいーーあん!」

突然動いて再び襲われた快感にあられもない声が上がる。
慌てたは浴衣の端を噛もうとするが、それを行冥が止める。

「や、なんで・・・」
「今我慢すれば辛いぞ」
「そん、あん!あ!ちょ、まっ!んん!」

下から突き上げられ、腰は掴まれ逃げ場がない。
ただ与えられる快楽には翻弄される。

「ん!はっ!あ!ひめ、さん!激し、やぁ!」
「好きにイけ」
「っあぁぁぁっ!」












































































































(「・・・本気で死にたい」)

事が済み、は仏壇前よろしくな効果音を背負っていた。
もぞもぞと布団の中で動けば鈍い疼きに思わず身動きを止めた。

(「腰重っ・・・」)

「・・・」
「身体は平気か」
「・・・はい」
「そうか、湯の用意は整ってる。無理なら運ぶぞ」

まるでいつもの任務後のように動揺が見えない行冥。
今回は全面的に自分に非がある。
いくら催淫毒を受けたからとはいえ、わざわざ身体を重ねることまで付き合ってもらうとは。

「悲鳴嶼さん、優し過ぎです」
「そうか?」
「そうですよ。
こんな失態した腑抜け隊士なんてーー」
ーーポンーー

続きそうなの愚痴は大きな手が頭を撫でた事で止まった。
布団から僅かに顔を出せば、初めて見た柔らかい笑みを浮かべた行冥が穏やかな声で続けた。

だから手を貸したのだ。他の隊士にこんなことはせん」

毒は抜けたはずなのに身体が熱くなる。
激しくなる動悸。
腰の痛みさえどうでもよくなって、は跳ね起き近くにあった刀を手に取った。

「すみません・・・ちょっと切腹してきます」
「それは困る」
























































まだ付き合ってもない

>おまけ
(「ふむ、既成事実先行となってしまったか。
順序は逆だがひとまず良しとするか」)

(「え・・・どう言う意味?
毒抜きの為じゃ・・・え?ええ?」)






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2020.5.16