ーー本音ーー





















































































































「ねぇねぇ、お姉さん一緒にお茶でもどうかな?」

かれこれ30分。
暇人らしい言い寄る男をは完全に無視してきた訳だが、向こうに諦めの気配は皆無。
そろそろいい加減にして欲しい。
というかこんな状況に陥っている待ち人に対する殺意が苛立ちと共に右肩上がりで天井知らず。
相手にするのも嫌だったが、この場から消えて欲しい以外の選択肢はないため、はようやく口を開いた。

「連れを待ってますので、結構です」

冷たい声音でそう言えば、大抵の男はすごすごと引き下がる。

「えー?そう言わないでさぁ。連れなんて放っておきなよ」
「・・・」

どうやら何事にも例外があるらしい。
さらに無遠慮に距離を詰めてきた男に流石のも米神が波打った。

「こんな美人を待たせるなんて、ロクな奴じゃないって」
「・・・そうですね」

男が馴れ馴れしく肩に腕を回してきた事で、は小さく嘆息した。

「ですが私が待っているその人は見た目に反して誠実で、己の責務を自覚している決めた筋をしっかりと通す方です」

の言葉に男は近づく動作を止めた。
そのタイミングを逃さず、自身に回された腕を外したは男から僅かに距離を取って振り返った。

「ですので、会ったこともない他人にどうこう言われる筋合いありませんので、お引き取りくだ・・・」

言い寄ってきた男に、はにっこりと圧をかけた笑みのまま固まった。
瞬きの間にも関わらず、目の前には話題の待ち人。
先ほどのどこにでも居そうな男の姿は影も形も無い。
状況が飲み込めてないだが、待ち人の方が必死に何かを堪えるような表情で口火を切った。

「・・・」
「・・・」
「よ、よぉ・・・」
「・・・」
「ほ、ほら俺忍だろ?他人に化ーーゴフッ!

眼前の巨体の鳩尾に柄が殺人的角度で叩き込まれる。
咽せて座り込む天元の横をは颯爽と歩き去って行った。
すれ違い様に見えた一瞬。
耳まで真っ赤になっていた光景に咽せ終えた天元はそのまま頭を抱え込んだ。

(「あー・・・びっくりした」)
































































当人が居ない時にこそ、その人の本心は出る



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2020.06.03