帝都でエステルに傷の手当をしてもらったユーリは、ラピード、ジュディスと合流した。
その後、アスピオでリタと合流すると、一行はダングレストへとやってきた。





































































ーーNo.167 参集した仲間ーー































































とりあえずユニオンへ向かおうとユーリ達が広場に差し掛かった時だった。

「ちくしょう、どうせオレなんか!」

ユーリ達の前を、ハリーが猛然と走り去って行った。
何があったんだ、と互いに視線を交わしていると別な声が響く。

ハリー!待ちなーー!ったぁ〜・・・」
「ほーれ、言わんこっちゃない。
だからまだ休んでろって言ったでしょうが」

中年の男の呆れた声に若い声が不機嫌そうに反論する。

「・・・もう歩けるんだし大丈夫だってば。
ともかく、早くハリーを連れ戻さないと話が進まーー」
「あーーーっ!!」

女性の話が少年の声によって遮られた。
少年、カロルの叫び声に眉根を寄せた二人、 とレイヴンはその視線の先を追った。
そこにいたユーリ達の姿に、三人は目を見張りカロルは青年の元へと駆け出した。

ユーリ!!
・・・ひどいよ、無事だったんなら一言ぐらい・・・」
「心配かけたな、でも戻ってきたぜ」
「おたくも良いしぶとさねぇ。さすが、俺様の見込んだ男」
「はは、おっさんには負けるよ」
「元気そうで何より、無事で良かったわ」
「お互いな。そういや今、ハリー見かけたけど、何かあったのか?」

ユーリの言葉に、レイヴンは困ったように顎に手を当てた。

「それがちょいとばかし、うまくなくてねぇ。
今ユニオンは船頭不在だからねぇ」
「中核となる者がいないとまとまらない・・・
そういうわけ?」
「そういうこと。
世界がこんな状況だってのにホント、頭が痛いわ」

ジュディスに頷いた は、疲れたように息を吐くと米神を揉んだ。

「中核・・・!そうか!!
「な、なになに?」

ジュディスの言葉にリタは声を上げると、それに驚いたカロルがリタに視線を向けた。

「分かったわ。聖核アパティアよ!
あれを使えばうまくいくわ。
つまり、エアルを安定系係数が変化し続けていってもそれを結びつけーー」
「待て待て待て待て、どうせ理解できないから説明はパスな」
「ああ、ま、まぁいいわ。
とにかく、ドンに渡した聖核アパティアがあったはずよね?」
「・・・ベリウスの聖核アパティア蒼穹の水玉キュアノシエルね」

リタとユーリ、ジュディスの間で成立している会話。
それについていけない はレイヴン、カロルと顔を見合わせるとエステルに向き直った。

「えと・・・エステル、どういうこと?」
「リタがエアルを抑制する方法を見つけたんです」
「ほんとに!?すごい!」
「ドンが亡くなった後、蒼穹の水玉キュアノシエルがどうなったか知ってるか?」

ユーリから聞かれたレイヴンは、記憶を手繰るように腕を組んだ。

「さぁなぁ、それこそハリーなら知ってっかもな。
ちょうどいいわ。やっこさん、連れ戻すとこだったんだ。
ユニオンの本部行っててよ、すぐ戻るからさ。
あ!それと嬢ちゃん、一緒に来てもらえる?」

エステルを呼んだレイヴンに は胡乱気な視線を向けた。

「どうしてここでエステルなの?用事なんてあった?」
「まぁまぁ、 は青年達と先に行っててよ」
「・・・別に良いけど・・・
エステル、何かされそうになったらすぐに大声上げるのよ」

真剣な顔でエステルにそう言った は、他の皆を連れてユニオンへと歩き出す。

「おっさん、エステルに手出したら後が怖いからね」
「後でエステルから話を聞くから嘘はダメよ、おじさま」
「俺様、信用されてないのね・・・おっさん、ショック・・・」
「ウザっ!」

去り際にリタとジュディスにも釘を刺されたレイヴンはがっくりと肩を落とす。
ユニオンへ向かう背中に手を振っていたエステルは、未だにいじけたまま地面にのの字を書いているレイヴンに訊ねた。

「どうしたんです?」
「・・・ホントは紳士なのに・・・はぁ、おっさんグレちゃうわよ・・・」
「レイヴン?」
「ん?あぁ、悪いわね。
実はね・・・」

エステルにごにょごにょと耳打ちするレイヴン。
その内容を聞いたエステルは、晴れやかな笑顔で頷いた。

「はい、分かりました。
そう言う事なら任せてください」
「無理しない範囲で頼むわ。
ほんじゃ、ハリーを連れ戻しに行きますか」





























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2008.9.5