ーー終わりの始まりーー




















































































































「もう終わりにしましょう」

突如響いた、涼やかな声。
それに入り口に背を向けていた男が振り返る。
王が座する広い空間に、凛と響き渡る声の主がゆっくりと歩みを進め止めた。
そして、目深に下ろしていたフードに細い指がかかる。
それが取り払われ、目の前に現れた人物に男は激情を露わにした。

「貴様!・・・我を裏切るのか!」
「すでに2000年前に私達の戦争は終わりました。
これ以上犠牲だけ大きくして何が勝利ですか」
「まだ終わってなどいない!」
「もう天上人は滅んだんです」
「まだだ!レンズの力で蘇り、今度こそ地上人を隷属させるのだ!」
「ミクトラン・・・」
「ふん、裏切るならそれもよかろう。我輩自ら葬ってやる!

まるで静と動の対峙。
対極の位置にある二人は決して交わる事はない。
歩み寄る余地さえ・・・
怒りを宿し自身の剣を構える男に、身構えすらしないまま女は悲しげに顔を伏せ呟いた。

「私はあなたにまた会えて・・・嬉しかった」
「!」

逃れることの出来ない記憶が、いつも己を苛む。
だって、最後はあなたの元に辿り着けずに命尽きた。
凍える寒さの中、ただただ詫びた。
志半ばでもう支えることができない悲しみの中、再び目を開ければまたあなたが抱き締めてくれて夢のようだった。

「でも・・・私は、自分が蘇った事を呪いました」
「・・・」
「誰も居ないあの時の未来の世界。
蘇らせれば言いと、同志を物のように扱うあなたが許せなかった。
止められない自身の無力さに絶望して命を断とうと思った。
けど、この世界を見て生きていくのも良いと思えたのです」

仲間と呼んでくれた者達と出会えたから。
身分などに縛られず自身で見て触れて感じれた。
こんな自分に好意を寄せてくれる者が共に生きようと言ってくれた。
世界はこんなにも美しいと知れた。
だから・・・

「この世界に支配者は不要。
その均衡を崩すというのなら、何者であれ排除します」

それがかつての主君だとしても。
それがかつて愛した人だとしても。

「死んでもらいます、ミクトラン」
「痴れ者がっ!!」

両者地を蹴った。
互いの命を絶つその場所めがけソーディアンを振るった。



















































































































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2020.3.14