ーー穴埋めクイズーー
「」
「何ですか、硝子先輩?」
「進み具合は?」
「残り半分ですね」
「流石、手慣れてるな」
「ありがとうございます」
「」
「何ですか?」
「後で備品のチェックも頼めるか?」
「それは昨日終わってます」
「マジか」
「マジです」
「そのお人好しは他で発揮するなよ」
「・・・今は負傷で任務に行けませんから」
「ふーん・・・」
「今度は何のチェックです?」
「お前、夏油のこと好きなのか?」
それまで間髪入れずに返されていた返答の代わりにペンの走る音だけが響く。
げとー、すき・・・記憶を手繰るが該当するような名称に覚えがない。あれ、そういう薬品ってそもそもあっただろうか。
その後、しばらくしてようやく質問の意味を認識したのペンが止まり、その質問を投げた硝子へと顔を向けた。
「ん?・・・はい?」
「いや、だからお前、夏油のこと好きなのかって」
「え・・・」
「それとも五条の方か?」
「・・・えーと」
ポカンと惚けるしかできない。
どうして在庫確認の脈略でそっちに話が飛んだのか理解が追いつかず、は素直に首を傾げた。
「突飛な問い過ぎてどう答えたもんでしょうか・・・」
「直感直感」
「・・・」
同性で唯一尊敬するその人の表情はどう見ても面白がっている。
そしてその目元は昨日よりクマが濃い。
いつもよりもハイになってる感が否めなかったが、断る選択はさらなるとばっちりを受けそうで、ペン尻を顎下に付けたはしばし唸る。
「そうですね・・・好きな部類だと思いますよ」
「どっちがだよ」
「比較するなら一応僅差で、前者の方ですかね。
私の中で3年の先輩方を好きな度合いは尊敬値と同じでこんな感じです」
硝子>夏油=五条
流石に備品のチェックリストに名前を書くのは憚られ、口頭で説明しながら余白にイニシャルのみ書き出したはそれを硝子に見せる。
すると、最初からその答えを読んでいたのかニヤリと笑った硝子はからかいを強めた。
「なんだ、やっぱ夏油の方が五条より上か」
「そう言う表現されると誤解を招きそうで嫌なのですが・・・状況によりけりですが二人とも類友なのは確かですね。
ただ、夏油先輩の方がまだ一般常識をお持ちなので、僅差でという話です」
「はぁ?なんだその色気のない答えは」
「え・・・すみません?」
なんで答えたのに怒られるみたいな反応をされるのだろうか。
不味いことは言ってないはずなんだが。
それとも正直に両者はムリだと言えば良かったか?
「じゃあ七海と灰原はどうなんだ?」
「どう、とは?」
「どっちが好きなんだ?」
「お二人とも尊敬してますよ、任務でも訓練でも丁寧に教えていただいてますし」
「・・・」
今度も素直に答えてみれば、刺すような視線で睨まれる。
なんで?
「え、と・・・私何か失礼なこと言いましたか?」
「なら伊地知は?」
「苦労を分かち合える貴重な同志ですね。多分一人だったら色々無理でした」
「・・・・・・」
これは紛れもない事実も含まれる。
本心から、彼が同級生として居なければ高専での生活を続けていく気力さえ途中でへし折れていたかもしれない。
それほど癖の強い上級生の集まり。
と、こちらは嘘偽りを述べているわけではないと言うのに、返される反応はどんどんと棘が鋭さを増していくようだった。
「・・・おい」
「はい?」
「分かって言ってんのか?」
「え・・・何の話しですか?」
「ガチかよ」
「合致って?」
ーー単なる暇つぶし
家「はい野郎共ちゅうもーく。可愛い後輩が書いたこの『先輩大好き公式』に当てはまる正しい順番はなんでしょーか」
五「俺、傑」
夏「私、悟」
五「あ?」
夏「は?」
家(「しばらくこのネタで遊べるな」)
「うーん・・・」
伊「どうかされましたか?」
「いや、私って伊地知くんと似てるのかな?」
伊「はい?」
そして勝手に進む勘違い
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2023.04.16