ーーらっきーSKB part.3ーー
「ちょっと・・・いい加減、返してください・・・よ」
「だーから、取ればいいじゃんw」
穏やかな陽気に、教室の窓辺で後輩の携帯を奪ったいけない先輩が、身長差を武器にいたいけな後輩を弄んでいた。
その光景を、隣の窓辺から見ているだけで止めない他2名は呆れたように呟いた。
「今日もやってるね」
「飽きないのかね、後輩いじめして」
プルプルと爪先立ちとなっても目的の携帯には届かないに、悟は先ほどから掠りそうな距離に携帯をぶら下げている。
まさに鼻先に人参をぶら下げる所業。
ぶら下げてる方は楽しいだろうが、下げられている方は当然楽しくない。
「相変わらず呪力もザコい上にちびだなw」
「ぐっ!無駄に大きい人に言われたく、ありません!」
身長差もあってやはり届かない。
目の前をひらひらとされ、さすがのも段々と怒りのゲージが上がっていく。
「ほーらほら、どうする?」
「・・・このっ!」
このままでは任務に遅れる。
もはや最終手段だと、は肩にかけていた荷物を外す。
そして呪具が収納してあるケースを外壁に斜めに置く形で足場を作り飛び上がった。
ーーバッ!ーー
「へへ、んなーー」
しかし悟も予想していたらしいそれにさらに手を高くしようとした。
が、予想よりも僅かにスピードが優ったの膨らみが悟の視界を塞いだ。
ーーパシッーー
「よっし!」
「おー、よくやった」
「はい!自力でやったりました!」
「よしよし、じゃあ気を付けて任務に行って来いよ」
「はい、行ってきます!」
硝子に褒められたはさらに機嫌を良くしたように意気揚々と遠くで待っている同期の元へと走って行った。
一部始終を同じ窓辺で見ていた硝子は、決定的場面を押さえた写真を見ながらからかい口調を強めて隣で同様に固まっている傑に言った。
「・・・」
「なあなあ、夏油見てみ。五条が固まってるぞ、おもれー」
「は、はあ!?固まってなんかねぇーっつーの!」
「ぷふっ、真っ赤になってやんの」
「・・・悟、少し外で手合わせしようか」
「ああ!?一人でやってろ寂しんぼが!」
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2021.10.29