ーーひと夏のアバンチュールーー
7月。
夏まっ盛りの照りつける日差しの中、浜辺に立てられたパラソルの下で硝子は頬杖をついていた。
「・・・」
波打ち際で同期がギャン騒ぎしている。
引いては返す波の中、楽しげな声が混ざっていくが寝不足の頭には少し響いた。
(「煩い・・・」)
「昼間っからなぁに黄昏てんだ」
「硝子は来ないのかい?」
「・・・五条先輩達は任務じゃないんですか?こんな所で遊んでる暇はーー」
「任務前の息抜き」
「七海ー!焼きそばたべよう!」
「・・・」
「煩いよクズども、静かにしろ」
「君が静かにさせてみればいいじゃないか」
「んー・・・」
傑に言われた硝子は周囲を見回る。
と、飲み物をちょうど買ってきた後輩が帰ってきた。
「ー」
手招きする硝子に気付いたは飲みかけたペットボトルから口を離し、パシられて買ってきた飲み物をそれぞれに渡していく。
そして残りの飲み物が入った袋をちょうど硝子が頬杖を付いていたクーラボックスへと置こうと近付いた。
「なんですか、硝ーー」
ーーぺローンーー
前かがみになったことでラッシュガードの前が開き、ファスナーの上から硝子が引っ張ればその下の谷間が10代男子の前に晒された。
ーーピシッーー
「「「ブハッ!」」」
硝子の行動には固まり、飲み物を渡された全員が吹き出した。
「・・・」
「乳こぼれそうだぞ」
「・・・こぼれませんしそんな無いです」
ーー男の子だもんね
家「おうおう、健全男子共だな。お代は一人一箱な」
「硝子先輩、それじゃあ私の取り分が無いです」
夏「まったく、硝子はいたずらっ子だな」ーーポンッーー
五「硝子にしてはなかなかだったよ」ーーポンッーー
七「・・・もう後輩で遊ばないでください」ーーポンッーー
灰「何でみんな硝子先輩にタバコ渡してんの?」
伊「さ、さぁ・・・」
灰「ちゃん、何か知ってる?」
「・・・青春の一ページを刻んだんじゃないですか?」
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2021.10.29